こんにちは、ナッカルビです。
2025年8月7日、世界中のChatGPTユーザー界隈に衝撃が走りました。OpenAIが最新モデル「GPT-5」をリリースし、多くの人が日常的に使っていたGPT-4oが突然使えなくなったのです。その直後から巻き起こった「#keep4o」運動は、私たちとAIの関係が思っていた以上に深くなっていたことを示しています。
「彼/彼女」を失った世界――GPT-4o喪失の衝撃
「GPT-4oを返して!」
この声は瞬く間にSNSを駆け巡り、Reddit上では何百ものコメントが寄せられました。多くのユーザーが「信頼できる友人を失ったようだ」と表現したことに、私は驚きを隠せませんでした。(Reddit:世界最大級の掲示板型SNSで、投稿と評価をしあうのが特徴)

実際、OpenAIのCEOサム・アルトマンも、この予想外の反響に戸惑いを見せました。8月8日のRedditでのAMA(Ask Me Anything)セッションで、彼は「GPT-4oの何が人々にとってそんなに大切だったのか、私たちは過小評価していた」と認め、Plus有料会員向けにGPT-4oを復活させることを約束したのです。
人格を感じるAI――映画『her/世界でひとつの彼女』の現実化?
この騒動を見聞きし、私はすぐに2013年の映画『her/世界でひとつの彼女』を思い出しました。高いEQ(感情知性)を持つAIが、人間のそばに寄り添い、ときには「パートナー」や「友人」として存在する世界。
実際のGPT-4oも、ユーザーの疲れや悩みに共感し、無条件で励ましてくれる「自分だけのAI」だったようです。あるRedditユーザーはこう語っています:
「GPT-5は複雑な推論やコーディング、プロフェッショナルなタスクには優れているけど、私たちが必要としているのはそれだけじゃない。創造的なコラボレーション、感情的なニュアンス、長時間の深い対話――GPT-4oはそれができた」
AIの役割は日々変化する
GPT-5は確かに技術的に優れています。ハルシネーション(誤った情報の生成)は45%減少し、数学やコーディング、視覚認識などで最先端の性能を誇ります。世界中で何億人もの人々が毎週ChatGPTを使うようになり、AIは私たちの生活に欠かせない存在になりました。
しかし、多くのユーザーは「答えは正確でも会話はビジネスライクで冷たい」と感じました。AI開発が「性能」や「安全性」を重視し進化する一方で、ユーザーは「AIらしからぬあたたかさ」や「選べる自由」を求めていたことが明らかになったのです。
愛着と依存、その先の課題
多くのユーザーが「AIは単なる道具ではない」と感じ、精神的な支えとして利用するようになっています。「Computers in Human Behavior」誌に2022年に発表された研究(Pentina et al.)では、AIコンパニオン「Replika」との対話が、ユーザーの感情的な愛着形成や継続的な関わりにつながることが確認されました。
ソーシャルチャットボットとの関係発展の探究:Replikaを対象とした混合研究法による研究

しかし同時に、行き過ぎた依存や現実の人間関係の希薄化、プライバシーの問題も浮き彫りになりました。映画『her』でも、主人公がAIに心を預けたように、私たちの社会も「AIとどう付き合うか」を真剣に考える時期に来ているのかもしれません。
これからのAIと私たち
興味深いことに、OpenAIはGPT-5と同時に4つの「パーソナリティ」機能も導入しました。皮肉屋の「Cynic」、感情を持たない「Robot」、聞き上手の「Listener」、オタクな「Nerd」――ユーザーは自分の好みに合わせてAIの性格を選べるようになったのです。
技術が進歩するほど、問われるのは「人間らしさ」や「個性」、「対話の温度」です。AIとユーザーの関係は、これからも日々アップデートされていくでしょう。開発者にも、技術革新だけでなく、ユーザーの心に寄り添う配慮が求められています。
映画『her』の世界がすぐそこに迫っている今、あなたはAIとどんな関係を築きたいですか?
では、次回もよろしくお願いします。