ナッカルビのウラナミ『海の救世主?消えてなくなるプラスチック!?』

ナッカルビ

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湘南生まれ、湘南育ちながら海との接点が乏しい半生を歩む…。 今は自分の趣味より家族を優先しがちな中年です。 会社で教わったSUPを趣味にできたら、うれしいな。IT局所属。

DALL·E 2024-08-20 15.27.13 - A serene ocean with a plastic bottle partially submerged in water, surrounded by glowing microorganisms or small bioluminescent particles, symbolizingのコピー


こんにちは、ナッカルビです。

海に流れ着いたプラスチックごみが、生き物たちの命を脅かし、私たちの海を汚染している。こんな現実を変えるために、とある技術が開発されました。その開発されたプラスチックなら海洋流出したとしても微生物の力で完全に無害化できるのかも!?今回は、群馬大学と海洋研究開発機構のチームが手掛けた興味深い成果について、詳しくお話ししたいと思います。


海洋プラスチック問題の深刻さ

海洋プラスチック問題は、環境問題の中でも最も深刻なものの一つです。毎年、数百万トンものプラスチックごみが海に流れ込み、そのほとんどは何百年も分解されることなく残り続けます。このままでは、2050年には海にいる魚の数よりもプラスチックの方が多くなるという予測もあるほどです。

日本財団ジャーナル – 2050年の海は魚よりもごみが多くなる?今すぐできる2つのアクション

現在、生分解性プラスチックがこの問題への解決策として注目されています。しかし、従来の生分解性プラスチックは海洋環境での分解が極めて遅いことが課題でした。海の中には分解を担う微生物が少ないため、期待されるほどの効果が得られていないのです。


新技術がもたらす海洋プラスチック問題の解決策

群馬大学と海洋研究開発機構の研究チームは、この課題を解決するための革新的なアプローチを開発しました。そのアプローチとは、「微生物誘引物質」を生分解性プラスチックに混ぜ、微生物を集めてプラスチックの分解を促進させるというものです。

図: 海洋で生分解しにくい生分解性プラスチックの生分解性を向上させるための仕組み(引用元:群馬大学プレスリリース)

図: 海洋で生分解しにくい生分解性プラスチックの生分解性を向上させるための仕組み(引用元:群馬大学プレスリリース)

具体的には、16-ヒドロキシヘキサデカン酸(16HHD)とポリカプロラクトン(PCL)という2つの物質を生分解性プラスチックに添加しました。これにより、微生物がプラスチック周囲に集まりやすくなり、従来よりもはるかに速いペースでプラスチックを分解できるようになったのです。

実験では、分解速度が18.4倍、7.8倍に向上し、生分解率は驚異的な90.4%と83.2%に達しました。この技術が実用化されれば、海洋に流れ込んだプラスチックごみが、自然に、しかも短期間で完全に分解される未来が実現するかもしれません。

群馬大学プレスリリース – 海洋環境で生分解性プラスチックを速やかに分解させるための技術開発に成功 〜海洋で微生物を集めてプラスチックを食べさせる


未来への希望:完全生分解の実現と普及

今回の技術のもう一つの特筆すべき点は、プラスチックが分解される過程で生じる中間生成物が完全に無機化されるということです。これにより、海洋環境に有害な物質が一切残らないというのは、環境保護の観点から極めて重要です。将来、この技術が広く普及すれば、私たちの海は再び美しさを取り戻し、海洋生物たちが安心して暮らせる環境が整うかもしれません。

産業技術総合研究所は持続可能な社会、持続可能な企業活動に向け、イノベーションにつながる製品や代替品の開発とその社会実装を加速するため、2021年10月1日に「海洋生分解性プラスチック標準化コンソーシアム」を設立しています。

海洋生分解性プラスチック標準化コンソーシアム

このような取り組みを通じ、日本発の技術が標準化され、全世界で使われると思うとワクワクしますね。
海洋生分解性プラスチックに関する一般的な紹介については以下をご覧いただければと思います。

産総研マガジン – #話題の〇〇を解説 “海洋生分解性プラスチック”とは?


まとめ

今回紹介した成果は、海洋プラスチック問題を根本から解決するための重要な一歩となるかもしれません。自然界の力を利用して、私たちの海を守るという発想は、持続可能な社会を築く上でますます重視される考え方となりそうです。

それでは、次回もよろしくお願いします。

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