【Patagonia】ウェットスーツのデザインチームが来日!波伝説単独インタビュー!

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Patagoniaでは天然ラバーを使用したユーレックスウェットスーツを2012年から発売。

2023年FALLシーズンモデルよりさらに改良を加え新発売!



Patagonia Yulex Regulator Wetsuits

https://www.patagonia.jp/yulex-natural-rubber-wetsuits/



今回はデザインチームが来日!

波伝説では単独インタビューを実施し、開発にかかわる話をお伺いさせていただきました。


ウェットスーツ製品ライン・マネージャー
ハブ・ハバード氏

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ウェットスーツ・デザイナー
ギャレット・ジョーンズ氏

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今回の来日の目的を教えてください

新しいモデルの開発と紹介を兼ねて来日しました。


ハブ氏

日本は2回目です。

ギャレット氏

私は4回目です。



日本の気候・波はどうですか?


ギャレット氏

朝起きてすぐにボード・ウェットスーツを選んで海に入ることができて、フィールドテストができるので千葉をエンジョイしています。最高です!

ハブ氏

今回日本に来れてとても嬉しかったです。
今日の波はそこまでよくなかったですが、チームのみんなと一緒に海に入ったりして、とてもエンジョイしています。千葉エリアは私の育った環境を思い出すようなアットホームな感じで、雰囲気も良くとても気持ちいい感じです。すごいインスピレーションがもらえるところですね。




皆さんのパタゴニアでの担当と、パタゴニアとの出会いのストーリーを教えてください


ハブ氏

私はサーフチームのプロダクトラインマネージャー(責任者)としてウェットスーツ・ボードショーツ・スイムウエア・ラッシュガードなどオーシャン・アクティビティーにかかわる製品のすべてを管理しています。

11年前にパタゴニアのポジションが応募に出ていて、友達がまずパタゴニアに応募していたのですが、そのポジションは自分にとって天職だと思い応募しました。

その応募する少し前に「ワンエイティー・サウス」の映画や、「社員をサーフィンに行かせよう」とかを読んでいて、パタゴニアのイズムが頭の中に入っていたのです。

そしてカリフォルニアのランチでサーフィンをしていたらイヴォン・シュイナード(パタゴニア創業者)に偶然会ったんです。

映画を見たり本を読んだりした後で偶然イボンに会うというのは、何か運命的なものがあるのではないかと思いました。

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ギャレット氏

製品デザイナーとしてサーフカテゴリーではボードショーツ・ウェットスーツ・アクセサリー(ブーツなど)。
フライフィッシュ部門はウエーダー以外のものすべて。
ハイク、マウンテンバイク部門のジャケットなど。

兄がデザイナーとして活動をしており、彼についていくようにデザイナーになりました。

自分がデザインをしているとその製品に対する責任感というか、使い捨てのものではなく、自分が作ったものに意味を求めていました。

なのでパタゴニア側からリクルートされたことがとても嬉しかったです。

パタゴニアがやりたかったことと、私がやりたかったことが一致していてとても一体感があり、日々エキサイティングな時間を過ごしています。

ハブ氏

彼のポジションは、誰かがいなくなったからではなく、パタゴニアには彼が必要でした。

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パタゴニアウェットスーツのセールスポイントを紹介してください。またパタゴニアのウェットスーツは他社と比較して何が違うのでしょうか?


ハブ氏

パタゴニアは開発やプロトタイプの作成など自社ですべて行っています。
その点がすごく違うと思います。




最初にユーレックスに着目をしたきっかけは何でしょうか?


ハブ氏

ユーレックスへの道はネオプレーン(クロロプレーン)を使うことが環境に悪いことを、我々だけではなく皆が知っていることだったんです。
環境へのフットプリントをよくするために調査をしたところ、ユーレックスの素材が一番使いようのある天然ラバーなのではないか、ということでミッションとして取り組みました。

パタゴニアが普通のコットンがどれだけ環境に悪いかを発見してオーガニックコットンに変えたように、ネオプレーンも天然ラバーに変更するミッションに取り組んできました。



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ユーレックス社との関係性はどのようなコミュニケーションをとっているのでしょうか?


ハブ氏

ユーレックスは手袋やコンドームなどに使われていた素材でした。

パタゴニアではウェットスーツをすでに作っていましたが、ブログに「エコのネオプレーンなんて嘘だ」という記事を掲載したところ、それを見てパタゴニアがエコなウェットスーツを作りたいのでは?と興味を持ってもらって、ユーレックス社がウェットスーツを作りたいと思ってくれて声をかけてくれました。他のウェットスーツブランドにも声をかけたとのことでした。

一緒に仕事したりするのにミッションを達成する目標が同じなので、ユーレックス社とはとてもカジュアルな関係です。



素材になるまでの工程など


ハブ氏

ユーレックスラバーは現在スリランカで栽培された天然ラバーの木からラテックス(乳白色の液)を採取して行いますが、基本的にはシンプルで、他のウェットスーツの工程とほぼ同じです。

ゴムの木から素材を取ることはもう何千年も人間が行ってきたことです。
※パタゴニアの天然ラバーは最長30年間ラバーを生産することができるヘベアの木から採取されています。

ちなみに天然ラバーをさらに伸縮する素材にするために、通常の工程にもうワンステップだけ加えています。

原産のスリランカでは、その畑が環境に良い畑であるかを認証する「レインフォレスト・アライアンスによるFSC(森林管理協議会)認証」があります。
天然ラバーの原産国は色々な国がありますが、FSCの認証のあるところが少ないので、ユーレックス社がFSC認証の畑を探し、今のところサプライチェーンで順調にいっているのがスリランカです。



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ユーレックス・ウェットスーツの発売開始から11年が経過しましたが、一般的なネオプレーン素材と比べて耐久性等のレベルはどう感じますか?


ギャレット氏

現在はストレッチ、耐久性など他のウェットスーツと比べて何も遜色はありません。

もっともマテリアルやリペア、強度などは上がっていると思います。

長く使ってもらえるよう考えて開発しましたし、リペアセンターもあるので、壊れた時も修理をしてもらってさらに何年も使える製品にしました。

ネオプレーンも進化しているのですが、我々もいろいろ開発をしてきたのでより長持ちするようにしています。

ジップ部分は防食性タイプのものを取り入れており、細かい部分の改良もある。

ジップ部分は防食性タイプのものを取り入れており、細かい部分の改良もある。




開発に4年半かかりましたが苦労した点はありますか?


ハブ氏

開発についてはやはりコストがかかるということですね。

それと新しいものを作るのに新たに工場に依頼するときには、どの工場も新しい素材なのでどこもやりたがらないというところです。

またサプライチェーン(調達から配送販売まで)が大事です。FSC認証のサーティフィケーション(一定基準をクリア)しないといけないので、どこから素材を取り、どの工場にて生産するかなどすべての条件を満たすことが大事でした。

でも製品を作ってテストすることはとても楽しいことです。

製品を作るためにやらないといけないことが多くて、とてもハードルが高かったです。


ギャレット氏

デザイン的にはウェットスーツを考えたときに前のモデルの良い部分を考えて、今のウェットスーツはどこが壊れやすいのかをリペアチームに確認したり、そこからのリプライを取り入れて、ジッパーが壊れやすいという意見をもらったらその素材を変え、破けやすいシームの部分であればラインを動かしたりしてどうやったら壊れにくくなるか、水漏れの部分ならどのようにしたら密着できるかなどをリペアチーム、デザインチームなどと改良しました。

さらに出来上がったもので多くのフィールドテストを行いフィードバックをもらい、さらに何度も改良して時間がかかりました。



リペア部門からのフィードバックで股の部分の改良がされた。

リペア部門からのフィードバックでリペアの多かった部分として股の部分の改良がされた。



具体的に製品の開発について。どのようなプロセスで新しいウェットスーツができたのでしょうか?


ギャレット氏

プロセスは永遠とつながっています。

多くのリペアチーム、フィールドテストチームからのフィードバックなどの情報を集めたら、商品チーム(リペア・フィールドテスト・リージョン・プロダクト責任者・デベロップメント・素材マテリアル・デザインそれぞれのチーム)などが集まって、それぞれの役割分担でプロトタイプを考えていきます。

次の日も、次の日も考えてフィードバックを生かしていきます。

出来上がったものはすぐに海でテストを行います。

そのプロトタイプをさらに同じように次の改良の検討をしていきます。

なので開発には終わりはありません。




日本のウェットスーツは世界的に、かなり優れているがアメリカからみてどう考え参考にしているのか。

ハブ氏

日本のウェットスーツは世界一の水準だと信じています。
水の漏れてこないセミドライのスーツなど、アテンションディテール(細かいことに注意)されていると思います。

日本人だからこそ細かいところを見ていて、生地からゴム、シームなどとにかく一つ一つの商品のプロパティで一番いいものを使っていると思います。

すべてのものがとてもよくできていると思います。

なので世界中から日本のウェットスーツがどのように作られているかを見に来て、それを取り入れようとしています。

さらに日本のサーファーもウェットスーツをとても大事に使っていて、脱ぐ時などもとても気を付けて使っているのではないかと思っています。



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今はどこの国で作っていますか?今後日本で工場を作る予定はありますか?

ハブ氏

今はタイの工場で制作しています。日本での制作も非常に興味はあります。



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日本のサーファーに向けてメッセージを

ギャレット氏

ネオプレーンではなく天然ラバーのウェットスーツをぜひ考えてみてください。


ハブ氏

パタゴニアではなくても、他の会社の製品でも天然素材のラバー製品を考えてみてください。
自分の着ているものが、どんなもので作られているかを知ってもらいたいです。とても大事なことです。

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石油由来の製品と天然素材の製品とでどちらを使うか?

耐久性などが遜色なく、リペアもしやすい商品であれば天然素材の製品を使うことが我々にとってもいいことではないでしょうか?

ぜひ次のウェットスーツを選ぶときの一考としてお考えいただければ幸いです。

レポーター:Wanda

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