Be-YOU-tiful People『Pe’ahi Beckons Vol.4』

岡崎 友子

岡崎 友子
オーシャンアスリート&ジャーナリスト
鎌倉出身。16歳でウインドサーフィンを始め、大学に入ってからマウイに通い、90年代にはウエイブ年間ワールドランキング2位など入賞多数。他にスノーボード、カイトサーフィン、サップ、フォイル、ウイングなどでも黎明期から関わり、世界の情報を日本に紹介している。自分が恩恵を受け、常に多くを学んできた自然を大事にしていかなければという危機感から、近年はキッズキャンプや環境活動にも力を入れている。

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Ian Walsh 強風がテイクオフの難度を上げるなか、革新的なデザインのガンボードを駆使して荒れたフェイスを突き抜けていく WSL/miers

“ビッグウェイブサーフィンヒストリーの新しい1ページ”

さてメンズの決勝は、一瞬も目を離せない興奮の中で行われた。
誰が勝ってもおかしくないメンツの中で、しょっぱなからビリー・ケンパーがこの日一番大きいと思われるセットにテイクオフした。
風が吹いてリップがメラメラと吹き飛んで入る中でテイクオフを決め、彼らしいロングライドをメイクしてスタンダードを高く上げた。
カイ・レニーは、唯一ピアヒの波でマニューバーを描き、際立つ波乗りをしていたが、巨大なチューブになる波を待っていた。
誰もが認めるジョーズマスターであるにもかかわらず、まだカイはピアヒで優勝したことがない。
勝ちたい気持ちは誰よりもあるはずだ。
インテリと野生のミックスを感じさせるイアンも、ビッグウェイブを掴み、ビリーに迫る。
このヒートでも、ネイサン・フローレンスのスムーズさは際立っていた。すでにビッグウエイバーとして知られてきてはいるが、兄のジョンジョンとは全く違う路線にもかかわらず、スタイルが血の繋がりを感じさせる。
ルーカスもマクアもそれぞれチャージしていたが、ローカルたちの知識と経験値には勝てなかった。
あるいはピアヒの神様は、この日は彼らを選ばなかったというだけかもしれない。というのも、ビリーの勝利も彼の努力と情熱だけで勝てたようには思えないからだ。
ピアヒは、自然のエネルギーが最高潮に高まるところであり、神がかったことが起こる場所。
そんな中でビリーが勝ち上がったというよりは、“ビリーがピアヒに選ばれた”、という印象が残った。

ビリー・ケンパーのウイニングライド、勝利者インタビューで「ここは僕の裏庭。そして僕は縄張り意識が強いんだ」と何が何でも勝ちたかった気持ちを言葉にしていた Si Crowther

ビリー・ケンパーのウイニングライド、勝利者インタビューで「ここは僕の裏庭。そして僕は縄張り意識が強いんだ」と何が何でも勝ちたかった気持ちを言葉にしていた Si Crowther

ローカルの活躍が目立った今大会ではあったが、一人一人がそれぞれの個性あふれる素晴らしいパフォーマンスをした。
選手だけでなく、セイフティーチーム、スタッフ、観客が、今大会がさらにビッグウェイブの歴史の1ページとなったことを確信していた。

限りなく神と近づける場所、自分のありとあらゆる感情と向き合う場所。
ピアヒはこれからもたくさんのレガシーを生み続けていくことだろう。(了)

優勝したビリー・ケンパーとペイジ・アルムズ WSL/Miers

優勝したビリー・ケンパーとペイジ・アルムズ WSL/Miers

cbdMD Jaws Big Wave Championships
Nov 1, 2019 – Mar 31, 2020
Mens Result
1 Billy Kemper (Maui)
2 Ian Walsh (Maui)
3 Nathan Florence (Oafu)
4 Kai Lenny (Maui)
5 Makuakai Rothman (Oahu)
6 Lucas Chianca (Brazil)

Ladies Result
1 Paige Almes (Maui)
2 Felicity Permatier (Australia)
3 Annie Reichart (Maui)
4 Keala Kennely (Kauai)
5 Emily Erickson (Oahu)
6 Michaela Fregonese (Brazil)

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