☆加藤のウラナミ『明日がある』

☆加藤

☆加藤
会社代表であり、波乗りと海が大好きなサーファーです。子どもたちに安全安心な海を残すことと、島国などへ高精細な気象情報を提供することを残る人生のライフワークにしました。サーフトリップネタが多くなりますがお付き合いいただければ幸いです。よろしくお願いします。

マスクと正拳突き

妻お手製のマスクでコロナに負けないポーズをとる筆者

映画の世界にいるような信じられない光景に、いま世界中の人々が恐怖に慄(おのの)いています。

昨年12月に中国武漢市で感染が始まった「新型コロナウィルス(COVID-19)」は、その後も衰えることなく勢力を増して、あっという間に世界中に感染が拡大して、人類存続の危機までになろうとは、昨年末の時点では世界中の誰もが想像さえしなかった光景だと思います。

 

しかし、先の東京五輪が開催された1964年に、日本のSF作家小松左京氏はその著書「復活の日」の中で、今日の悍(おぞ)ましい世界を描いてみせていました。
アメリカが極秘で生物化学兵器として研究開発していた新型ウィルスが、運搬中の飛行機事故から世界中に感染が拡大して、人類は破滅する一歩手前まで追いやられてしまいます。

さらには大地震がきっかけとなって、米ソの核ミサイル戦争が起きてしまい、世界で唯一ミサイル攻撃を免れた南極基地の研究者らと、海中を航行していて難を逃れた原子力潜水艦2隻の乗組員のみが生き残り、人類が復活していく壮大なストーリーです。

角川文庫の角川春樹社長の強い思い入れにより、当時としては破格の10億円の制作予算が計上されましたが、最終的には25億円もの巨費を掛けて映画化されました。

深作欣二がメガホンを取り、映画史上初めて南極大陸での撮影を敢行し、若き草苅正雄が主演を務めて、ハリウッド女優オリビア・ハッセーが加わるなど豪華俳優陣も話題となりました。
日本のみならず世界中で上映されましたが、製作費が巨額に膨れ上がったために興行的には赤字だったと言われています。

 

また、2009年1月に公開された映画「感染列島」(監督瀬々敬久、主演妻夫木聡)では、新型ウィルスの発症地は南方の架空の小国でしたが、感染拡大は世界には広がらず、日本のみが感染拡大によって崩壊していくのでした。
ウィルス感染のクラスター爆発によって、病院が医療崩壊していく生々しい様子が映し出され、まさに今のニューヨークや東京の病院内を描いているようで、とても映画の世界とは思えないリアル感がありました。

映画では、発症後に回復した患者の血液から抽出された血しょうを感染者に輸血して感染を収束化することに成功するのですが、今回の中国武漢市でも同様にその治療法が実施され、いまアメリカでは臨床試験が行われているそうです。
この治療法は、「日本の細菌学の父」と呼ばれた北里柴三郎博士らが19世紀に開発した原理を活用したもので、一度感染したヒトの身体には病原体を攻撃する抗体が生まれるため、その抗体を含む完治した患者の血しょうを採取して、感染者に輸血して治癒を図るのだそうです。

 

週末を利用して、その「復活の日」と「感染列島」を連続で鑑賞しましたが、映画の恐ろしいシーンの数々が決してフィクションとは思えず、まさに今の日本や世界中のどこかでリアルタイムに起きている出来事を観ているようでした。映画を楽しむというよりは、ドキュメンタリー映画やライブ映像を“恐れながら慄(おのの)きながら”観ました。

あまりにもリアル過ぎるので、すべての方にお勧めすることはできません。私はビデオ・オン・デマンドの無料お試しを活用しましたので、もしもご興味があって未契約の方は試してみてください。

 

このウラナミを書いているのは、毎日のように日本の感染者記録が更新され、東京都ではクラスター爆発寸前で医療崩壊がまことしやかにささやかれている4月11日です。

 

生地は万一の応急手当てに備えていつもバッグに入れておいた三角巾を活用

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映画「感染列島」の中で、WHOから派遣された女性医師が紹介した言葉ですが、
『たとえ明日地球が滅びるとも、今日君はリンゴの木を植える……』

 

明日への希望を抱き続け、不要不急の外出と三密を避けて人との接触を8割少なくして、映画のように最終的には新型コロナウィルスを克服して、一日も早く平和な世の中に戻ることを、また安心してサーフィンができる日が来ることを心から祈るばかりです。(了)

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