Keramas, Bali, Indonesia 2019 -
五十嵐カノアの父ツトムが、試合に帯同して父親目線で観たリアルで愛のあるツアーレポート。
2019年バリでカノアがCT初優勝を飾った時のエピソード2をお伝えする。
五十嵐カノア 2019:バリ & 西オーストラリア | Beyond The Lines Ep.1@Red Bull Surfing
2019年5月25日…ちょうど一年前
「ちょうど去年の今日だよね。信じられない、と言うより来る時がきたって感じ」
KINGケリー様は常に、どんな時も真剣にかかって来る。食事の時、ゴルフの時も。幼い頃からケリー様はカノアには本気で向かってくる。厳しいけど有難い。
この勝負も当ったり前に、そう一瞬一瞬勝負をかけて来た。
そんな伝説の巨人との勝負、21歳の五十嵐カノアにとっては、大変と言うより楽しくてしょうがないのだ。幼い頃から大好きで尊敬するヒーロー(みんなのヒーロー)ケリー様。こんな夢のような勝負はもう一生無い事かも。素晴らしいコンディションで二人だけの勝負、楽しくて楽しくて。これがやりたくてカノアはプロサーファーになったんだよ。100%以上の力を出さなければ勝つことのできない相手だ。
もう一度じっくり神様との勝負を観てください。
Kelly Slater vs. Kanoa Igarashi – Semifinals, Heat 2 – Corona Bali Protected 2019 @WSL
ケリー様に勝ちました。カノアはケリー様に全勝なんですよ。
って事でジェーミー(ジェーミー・フローレス)さんとの決勝っす。
数年前、カノアがまだボーイズの頃の話。カノア(当時15歳)とジェーミーさんとでクイックシルバーの撮影でインドネシアの離れ小島に行ったときの話。撮影開始した時はそれほど気にならなかったが、潮が引いてボトムに岩が出てきていたらしい。カノアは気をつけながら数本の波に乗り撮影終了。ジェーミーさんがまーまー大きめな波をテイクオフ。その瞬間にたぶん何かミスをしたのか?顔面を岩に叩きつけてしまった!スタッフとカノアは急いで救助、宿にジェーミーさんを運んだ。インドネシアの小さな島での大怪我は命にも関わる。幼いカノアも一生懸命にジェーミーさんを看病したらしい。病院が近くにない、また電話もない。
無線で緊急事態を発信し救助を待つ。どうにかこうにか連絡がつき、ヘリコプターが12時間後に到着するとの事。ジェーミーさんやばいよ!12時間後って言ったら翌日の朝だ。ジェーミーさん意識がもうろうとしていたらしい。カノアが手を握り励まして救助をまった。
なんというカノアとジェーミーさんとの関係。私はいろいろな事を考えながらヒートを見守った。
そんな事も頭に描きながらもう一度この日本のサーフィン界の歴史に残る一戦をじっくり観てくださいね!
Kanoa Igarashi Takes Corona Bali Title as First Japanese Surf Champion @WSL
そんな事もあったな〜なんて考えちゃいながら熱いヒートを千葉の部原で観戦。
CTの優勝ってあったりまえなんですが、サーフィンの世界一って事なんで。なかなかできないんですよ。サーフィンていうのは上手くても優勝ってのはなかなかできないんですよ。CTサーファーの中にもまだ一度も優勝した事のない選手がたくさんいるんです。ベテランの中でも優勝した事のない方もいれば、若いトップ10のなかに入ってる方でも優勝した事のない方もおられますね。
この21歳でのCT優勝にはたくさんの意味のある経験です。これから先もまだ何度も優勝できるように、良い結果が出せるようにさらに努力して、応援してくれている全ての方に感謝してさらなる上を目指します。これからも末長くよろしくお願いいたします。
この素晴らしい優勝祝いを千葉の素晴らしい食堂で、素晴らしい仲間と大先輩に囲まれて乾杯ができたことに感謝です。皆様ありがとうございます。
>> 【五十嵐ツトムのCTツアー観戦記 】回想編 | 五十嵐カノアCT初優勝・バリ2019<エピソード1>