幸運にも2018年7月最後の週末のフィジートリップは、じゅうぶんな波に恵まれ、行った先でありがちな波不足とか混雑など負の要素に惑わされることなく楽しめた。
でもサーフトリップで素晴らしい波に遭遇できるのか?とかは気象条件が決めること。人間や旅行代理店の力の及ぶところではないのを事前にわきまえておくべきかもしれない…
そんなだから自分としては波の悪い場合に備えて、海中で遊べる道具を持っていく。特に南洋の海中は素晴らしいので、波がダメでもふて腐れて寝てるヒマなんかないのだ。

under the water.
トリップ2日目。タバルア島沖のクラウドブレイクのレフトを乗り倒した(倒された?)あと、今度はナモツ島沖のウィルクスというスポットに移動した。この海域では島と島との海峡の両サイドに必ずと言っていいほどグーフィーとレギュラーのリーフブレイクがある。
このウィルクスもそんな外洋のライトの波。沖ではヒメナちゃんやダン、加藤さんがフロントサイドでのサーフィンを楽しんでいるが、ここは船からSUPボードを下ろしてスタンドアップでのクロスカントリーサーフィンを試してみることにした。
つまり広大で浅く美しいサンゴの環礁の内側に向かって、ほんのヒザサイズもない潮波にどんだけ乗り継いで行けるか?という遊びだ。ただ調子こいてリーフの外れまで行ってしまうと、そこからの潮流の向きも速さも解らず危ない。
近くに見えるナモツ島には、過去に日本人プロロングボーダーがカレントに流されレスキューされたという伝説が今も語り継がれるくらいのこの海域の流れである。
そこを我がチームのリーダー・イアンのアシストを頼りに、漕ぎ出した。たしかにサーフトリップはまた、そのガイドしだいでトリップの全容が一変する。バリでガイドを雇った経験があるなら想像もつき易いと思うが、トリップはガイド相応の内容と結果に落ち着くものだ。
その点、このフィジーの海を知り尽くす頑強な体格からして心強いイアンの存在は大きい。
綺麗すぎて水の存在を認めるのが難しいほどの海面を映画スターウォーズのスピーダーバイクで浮遊~滑走するような感覚で200mほどのライドを終えた結果、自分は遥かインサイドを漂っていたが、気分は最高だった!
そんなリーフのはずれにも、迷い波が入ってくる。サイズはボードに直立して腰ほどに過ぎないが、とにかくブレイクがパーフェクト!自分から50mの距離で、そんな波が3本、たて続けに割れた。
それを沖のみんなに知らせようにも、振り返れば彼らは遠くに小さな点ほど…
しかもそのブレイクが行ってしまうと、あたりは穏やかな湖みたいに静まり返ってしまった。
今日のうねりは頭サイズ以上に達しない程度。だったらもし例えば6フィートのスウェルだったら、このあたりにどんなパーフェクトブレイクが出現するか?それが簡単にイメージできて、絶対また来たい!と思った。

coral and kakai.
海峡の深みって、モルジブもどこも同じと思うが、干潮に向かって島から沖に、そして満潮前には沖から島方向にと、とにかくその潮流の早さが半端じゃない。外洋サーフィンではこの強い潮の流れを計算に入れて、ゲティングアウト、カミングインしなければならない。
たとえば満潮時、沖からボートに帰る際に、いったんボートへの帰還をミスしてしまうとそこからボートに戻るのが、かったるいくらい流される時間帯もある。
そんなだから、あるときフリーダイブで遊ぼうとしたら、船のキャプテンに「必ず船のへりにいなさい」と告げられた。じっさいに潜ってみると、船の舳先のアンカーロープまでとてもじゃないが泳ぎ着けないほどの潮流。
だから船体に触れながら、それを伝い泳ぎで舳先に廻った。アンカーは沖に延びて沈んでいる。深いがなにしろ透明度が高いので、底までいけそう…ロープをたよりに潜っていくと、視界の広さが逆に恐怖心を煽る。
つまり向こうの深みから猛スピードでリーフシャークがアタックにくるのでは?といったかんじ。怖さで潜行が停滞し、あたりを見渡すと自分が凄く小さい存在なのに気付く。
「海、広過ぎだな。海面遠いな。海底まで行ったらブラックアウトだな」そこで浮上を開始。
海面が近くなると辺りの気泡が騒がしくなり、水中マスクも外れそうになる。びびってかなりの余力を残して浮上。
足下を覗くと自分が宙高く浮かんでる。小さいころから夢の中で空を平泳ぎで飛んでいたのはまさにこれだったんだな。
サーフィンを早めに切り上げてまで潜る価値のじゅうぶんあるのがフィジーの海だ…
to be continued…by Yasunori Kakai
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wilks under water and himena.
