大木咲桜(おおき さら)さんは、日本の若手ボディボーダーとして注目されている選手です。彼女は主に国内のボディボード競技に参加し、技術的な成長と競技での実績を積み重ねています。
湘南のエリアを拠点に活動しており、地元のビーチで波と向き合う日々を送っています。
彼女のプレースタイルは非常にアグレッシブで、特にエアリアル系のトリックに秀でていると評価されています。
2024年シーズンが終わり来年に向けての意気込みなどを波伝説が単独でインタビューさせていただきました。
まずは自己紹介をお願いします!
こんにちは、大木咲桜(サラ)と申します。
19歳です。
2025年からプロとして活動を始めます。

スポンサーには、CLEAVEボディボード、RTDウェットスーツ、TLS、そして家の近くのご飯屋さん「ZAIMOKUZA SEASONS」がサポートしてくださることになりました。

ボディボードを始めたのはいつですか?
10歳の時に始めました。
始めたきっかけは何ですか?
きっかけは、もともとお父さんがサーファーで、お母さんがボディボーダーだったからです。
そのため、お母さんが通っていたスクールに一緒についていく形で始めました。
その時、同世代の子どもたちがたくさんいて、最初は一緒に遊び感覚で海に行っていました。
しかし、その子たちが大会に出場しているのを見て、私も挑戦してみたいと思い、出場したのがきっかけです。
そこから負けず嫌いな性格が出てきて、どんどんハマっていきました。
負けると本当に機嫌が悪くなるし、かなり怖いんです。
おそらく周りにいる人たちはもう私のことを理解してくれていると思いますが、正直言って本当に怖いと思います(笑)。
初めて大会に出たのはいつですか?
初めて大会に出たのは、確か始めてから1年ほど経った11歳か12歳くらいの時だったと思います。
その大会で非常に悔しい思いをして、「あ、負けるとこんなに悔しいんだ」と気づきました。
その時に悔しい思いをして、スイッチが入りました。
ホームはどこですか?
鎌倉の材木座です!
好きな食べ物は何ですか?
甘いものが大好きです。
特にフルーツも好きです。
スイーツなら何でもウェルカムです!
最近ハマっていることはありますか?
Netflixで『ストレンジャー・シングス』を見ています。
あと『潜入兄弟』にもハマっていました。
2024年シーズンはどうでしたか?
2024年は3つの目標を立てました。
1つ目が「全日本で優勝する」
2つ目が「NSAのグラチャンを取る」
3つ目が「プロツアーでファイナルに行く」ことです。
結果として、グラチャンは取れ、プロツアーでファイナルにも進むことができましたが、全日本は2位でした。
優勝を目指してほぼ1年間努力してきたので、優勝できなかったことにとてもショックを受けました。
泣き崩れるくらい悔しかったです。
でも、その悔しさがあったからこそ、たくさんの人が応援してくれていることに気づけました。
その時に鎌倉支部の方々や普段あまり話さなかったボディボードの方々が声をかけてくれました。
「俺だったらさらちゃんが1位だと思ったよ」とか、「めっちゃ攻めたライディングしてたね」などと言っていただき、心から救われました。
全日本で優勝はできませんでしたが、そんなふうに思ってくださる方々がこんなにもいるんだと気づけたことは、本当に大きな収穫でした。
全日本後の試合で「ここで優勝すればグラチャンが取れる!」という場面があり、そこで優勝できました。
すると、思った以上に多くの方々が「おめでとう!」と喜んでくれて、本当に感動しました。
こんなにも応援してくださる方々がいるんだと、強く実感できた1年でした。
2025年、海外に留学するとのことですが、この1年間の意気込みを教えていただけますか?
2025年にプロになることをいろいろな場所で宣言してきましたが、その目標を達成するためにやるべきことはたくさんあります。
まずはプロの大会で優勝を目指しています。
それから、世界の大会にも興味があり、全戦に出場するのは難しいかもしれませんが、1~2戦くらいは挑戦してみたいと考えています。
海外生活に不安はありますか?
はい、とても不安です。
本当にすごく不安ですが、英語には昔から興味があり、英語力を高めることで将来海外の試合に出場する際にも自信になると思うので、挑戦する価値があると感じています。
今、英語は勉強していますか?
一応勉強しています!
ただ、まだまだですね…。
やはり、会話力が一番大事だと思うのですが、それがなかなかうまくいかなくて…。
これからもっと頑張りたいです!
サラさんにとって、ボディボードの魅力とは何ですか?
うーん、良いのか悪いのかは分かりませんが、ボディボードはサーフィンや他のスポーツに比べて競技人口があまり多くないんですよね。
そのため、ほぼ全員の顔を知っているような感じです。
海で「●●さん知っていますか?」と聞くと、だいたい誰かと繋がっていたりして、その距離感がとても良いなと思います。
また、ボディボードが珍しいスポーツだからこそ、応援してくれる方が多いんですよ。
「ボディボーダーなんですね!」と親近感を持ってもらえたり、「鎌倉でやっているんです」と言うと、鎌倉でボディボードをしている人は少ないので、特に応援してくださる方が増えるんです。
それが本当にありがたいです。
個人的には、始めやすさが魅力だと思っています!
実は、私、運動神経がとても悪くて…。
球技なんて本当にできないんです。周りから「この子、大丈夫?」と思われるくらい(笑)。
でも、ボディボードはそんな私でもできたんです!海に行くと、水を得た魚のようになれるんですよね。
始めやすいし、リフレッシュできるし、私にとっては最高のスポーツです!
ボディボードって、サーフィンの感覚と全然違うものですか?
うーん、サーフィンはあまり得意ではないので、比較は難しいですが(笑)、ボディボードは水との距離が近いというのが楽しいんです。
波を感じるというか、とても一体感があります。
ボディボードの好きなポイントは、例えばサーフィンだとエンドセッション、つまり波の終わりで、上手い人でも「ドーン」と終わってしまうことがあるじゃないですか?
普通はプルアウトして終わるんですが、ボディボードの場合は、すごく速い波でもそこに当ててエルロロ(エアリアルロール)などを決められるんです。そこがとても楽しいです!
さらに、他の人がやらないような場所でも波を当てることができ、結局空いている場所で自由に楽しめるので、その点も大好きなポイントです。
日々ボディボードをやっていく中で、トレーニングなどは何かしていますか?
トレーニングは、ワールドウィングで初動負荷を行っています!



また、家でもプランク体幹トレーニングは欠かさないようにしています。
ボディボードは全身運動だとよく言われるので、それに合わせて体づくりを意識しています。
さらに、深井さんのところ(FUKAI FITNESS CLUB)でもトレーニングをしています!
一時期ケガをして通えなくなっていたのですが、最近また再開しました。
そこで体力維持のトレーニングはもちろん、メンタルトレーニングも行っています。
また、自分でも家の近くの海辺を走ったりしています。

食生活などは気をつけていますか?
あー、そこはちょっと甘い部分があります(笑)。
甘いものが大好きで、特にチーズケーキが一番好きです!
ただ、バランスよく食べるようには心がけています。
今までで特に印象深かった大会はありますか?
昨年の全日本ですね。
正直言って、勝てなかったのですが、その時の負けがすごく印象に残っています。
悔しくて、悔しくて仕方なかったんです。しかし、その時に気づいたんです。
負けることが本当に嫌いで、ずっとそう思っていましたが、今思うと、負けてよかったなと思えるようになりました。
その時は非常に悲しかったのですが、時間が経つにつれて、「負けてよかったな」と初めて思えるようになったんです。
負けたことで、周りの応援やサポートに気づけたし、さらに負けず嫌いな気持ちが強くなりました。
それからは、やっていなかったことをやるようになったし、気持ちが大きく変わりました。
次は絶対に勝ってやるという気持ちが強くなりました。
今後は世界に挑戦するという目標があると聞きましたが、どんな大会に出たいと思っていますか?
はい、IBC Bodyboarding World Tourというツアーに出たいと考えています。
ボディボードの世界的なツアーで、そこに参加するのが目標です。
今後身につけたい技術はありますか?
大きい波に対応できるようになりたいですね。
日本では大きい波が身近にないので、ちょっと得意ではないのですが、もっと大きな波でもしっかり技を決められるようになりたいと思っています。
それに加えて、体力や筋肉作りも重要です。
怪我しない体を作りたいですね。
実は一昨年、怪我をしてしまったので、それをきっかけにしっかり体を作りたいと思っています。
大会では、1ヒートが15分くらい、プロだと20~25分くらい行うので、かなり体力が必要です。
ちなみに、去年アマチュアでプロの試合に出て、ファイナルまで進んだことがあります。
その時、1日に6ヒートをこなしたことがあり、体力的には非常にきつかったのですが、経験としてはすごく良かったです。
本当にしんどかったです。
めちゃくちゃしんどかったけれど、でも達成感の方が大きかったですね。
それに、「これ、私しかできない!」という気持ちで戦えたことが、最後まで頑張れた理由です。
鎌倉をホームとしているとのことですが、他にお気に入りのポイントはありますか?
はい、伊豆にはちょくちょく行きます。
その理由は、空いているからです。
とても好きなんですよ。
混んでいるのが本当に苦手で、伊豆は空いていて綺麗で暖かいし、波もいいので最高です。
特に多々戸、白浜、入田浜が大のお気に入りです。
でも最近は、他にも行く場所が増えてきました。
千葉にも行きますし、福島も好きです。
特に南相馬や四ツ倉は大会でよく訪れる場所で、波が良くて人も少ないので、やっぱり人が少ない場所が好きです。
福島は、いつ行っても波があるので、本当に助かります。
ボディボード以外の趣味はありますか?
お菓子作りが好きです。
チーズケーキやクッキー、マフィンなど、気まぐれで作っています。すごく楽しいですよ!
ストレスは溜めやすい方ですか?
はい、昔は溜めやすかったのですが、今はもうありません。
その時の解消法は何ですか?
最近は走ることです。
以前は本当にストレスを溜めやすかったのですが、走ることでストレスが解消できることに気づき、今ではよく走っています。
あとは、音楽を聴くのも大切ですね。
あいみょんがとても好きで、趣味というか、この前初めてライブに行って、さらに好きになりました。
あいみょんの曲をよく聴いて、歌って、めちゃくちゃ歌ってストレス解消しています。
将来的に目指している姿や、尊敬する人、目標にしている人はいますか?
はい、今はコンテストに出ていないのですが、尊敬しているのは永井那旺ちゃんです。
すべてが好きで、見た目もすごくリスペクトしています。
ライディングも落ち着いていて、すごく好きです。
もう一人は私がボディボードを始めたきっかけの先生、アオイちゃん(小池葵ちゃん)です。アオイちゃんは本当に別の世界にいる人!神様のような存在で、ずっと憧れています。
すごいオーラを持っていて、尊敬しています。
将来的にボディボードを仕事にしたいと考えていますか?
プロだけで賞金を得るのは実際には難しいと思っていますが、スクールをやってみたいという気持ちはあります。意外と教えるのは好きかもしれません。以前、子どもたちに教える手伝いをした時に、楽しそうだなと思ったので、ちょっと興味が湧いてきました。
ボディボードの競技で、若い子たちが増えてきましたね?
はい、同じ世代の子たちが多くなりましたね。
大会ではボードの長さに規定はありますか?
規定は特にないですね。
私が中学生の時は本当にボディボードのことがよくわかっていなくて、コアの違いとかも全然わからなかったんです。
作ってもらっても、まったくわからなかったんです。
でも最近やっとコアの違いがわかるようになってきました。
硬さに違いがあるんですよ。
私が使っているボードはカスタムで、ミディアムコアとかハードコアを使っています。
最近はブラックマジックコアという新しいコアも登場したので、乗り比べてみました。
実は、一昨年腰を怪我して、しばらくボディボードができなかったんですけど、復帰した時はミディアムコアのボードを使っていました。
回復してきたので、ハードコアに戻してみたんです。
そしたら、ビューンってスピードが違って、反発力も全然違っていて、固いボードの方が良かったですね。
ストリンガーを入れると、さらに反発力が強くなります。
でも、逆に柔らかいボードもすごく好きで、動かしやすいんですよ。
スピンをかけるきっかけになる感じです。
ずっとハードコアのボードを使っていて、今年新しいコア、真ん中のハードとミディアムの間くらいのコアに変えたんですが、最初はリバーススピンがすごく苦手で。
でもその新しいコアに変えたら、すごくできるようになって、動かしやすいんだなって実感しました。
ちなみに、今乗っているボードはマジックボードですか?
はい、今はマジックボードを使っています。
ボディボードのおすすめな点は?
ボディボードをやっていると、「ボディボードって何?」と言われることがよくあります。
その時は、サーフィンのようなものだよと説明しますが、ボディボードを知らない人が多いのが驚きです。
でも実際、サーフィンと比べてボディボードは始めやすいんです。
特に、サーフィンのハードルが高いと感じている人や、女性の方々にはボディボードをお勧めしたいです。
サーフィンの板に比べてボディボードの板は柔らかく、板が当たっても痛いことはありますが、サーフィンよりはずっと安全です。
だからこそ、みんなにボディボードを始めてほしいし、広めていきたいなと思っています。
今も家族で海に入ったりしているんですか?
実は、昨日台湾から帰ってきました。
お兄ちゃんが台湾に留学していて、会いに行くのが目的だったんですけど、ついでにトリップもしてきました。
太東の方に行って、玉石の良い波のポイントがあってすごく好きになっちゃいました。
台湾でも、女の子のボディボーダーと仲良くなって、インスタを交換しました。
ボディボードをやっていると、他のボディボーダーと自然に仲良くなれるんですよ。
少人数だからこそ、目立つし、すぐに仲良くなれるんです。
移動とかは好きですか?大会で結構回ることが多いですよね。
移動自体は全然苦じゃないですね。
長時間の移動も平気です。
2024年には免許を取って、お母さんと一緒に半分ずつ運転しています。
今まではずっとお母さんが運転してくれていたけど、最近はお母さんも楽になって、私も運転するようになりました。
その時に聞く音楽は何ですか?
私が運転している時は、あいみょんの曲をずっとかけています。お母さんが運転している時は、お母さんが好きな曲をかけますよ。
試合前とかって、どんな感じで集中してるんですか?
昨年、ちょっと新しいことを見つけたんですけど、試合前って絶対に緊張しちゃうんですよね。
私はすっごく緊張しますし、イライラもしちゃうんですけど、ヒートがその日に4回あったとしても、その前に10分でも寝る時間を作っているんです。
寝るのが本当に好きで、何時間でも寝られるタイプなんですよ。だから、10分でも寝ると、すごく落ち着くんです。
その時は音楽をガンガンにかけて、耳にいいのかどうかはわからないんですけど、人の話とかすごく気になっちゃって、「あ、あの子はああだよね」みたいな。
だから、イヤホンをつけて、何にも知らない曲を聴いているんです。
あいみょんとかアニメの曲だと歌いたくなっちゃうので、ほんとに何にも知らない曲をガンガンにかけて、そのまま寝るんです。
それで寝てよし!ってなって、準備体操するって感じですね。
これが私にとってはすごく良かったんだって、やっと気づいたんです。
メンタルは強いほうですか?
実はメンタルが弱いんですよね。
波があって、強い時と弱い時があって、結構メンタルに支配されている感じです。
一昨年の怪我があって、その時は不安がすごくて、怪我をして半年くらい海にも入れなくて、出たかった試合にも出られなくて、練習もできないし、何もできなくて。
そんな日々を過ごしていました。
それで、いざ試合に出た時、ファイナルには行けたんですけど、やっぱり不安が勝っちゃったんですよね。
怪我した後、直後ぐらいに全日本があって、その時は優勝を目指していたんですよ。
でも、何もできないし、体、というか心が完全にやられちゃって。
勝ちたいという気持ちはすごくあったけど、自分の中でなんかもう合ってない感じがして。
その時の記憶とかもすごく思い出すんです。
勝ちたいのにできない、という悔しさが今でも忘れられなくて。
でも、そういう時に、もう寝るとなんかちょっと元気が出るというか、気持ちが少し上がるんですよね。
怪我してから気づいたこともあったけど。休んで腰を守るためにどうすればいいのか、どういう動き方をすればいいのかとかを学んで、それに合わせたトレーニングをしたからこそ、今は大丈夫って思えるようになったんです。
あの時、もし休まずにずっとやっていたら、今でも痛かったと思うし、年を重ねていくうちに歩けなくなるとか言われたこともあって、今思うとその時にしっかり治しておいてよかったなって感じます。
また、ボディボードを客観的に見ることができて、試合には行っていたんですけど、出られないのがすごく悔しくて。
見ていると、本当に悔しくて仕方なかったけど、それも仕方ない。
今となっては、あの時間もいい経験だったなって思っています。
実は腰椎分離症だったんですよ。今思えば、トレーニングとかもちゃんとしてきたし、ワールドウィングで働いていた時も、その時に腰椎分離症の子が来て、すごく気持ちがわかるなって感じたんです。
だから、そういう子たちに寄り添いたいなと思いました。
実際、腰が痛いって言っている人って、ボディボーダーには結構多いんですよね。
応援してくれているファンの方に一言メッセージを。
いつも応援ありがとうございます!
昨年は特に、みなさんからの声やメッセージ、インスタのコメントなどが本当にありがたかったです。
正直、それがなかったら、悔しすぎて折れちゃっていたと思いますし、もうやめようってお母さんに言ったこともありました。
だから、その存在には心から感謝しています。
いつも気にかけてくださっているおかげで、すごく力をもらっています。
これからも応援よろしくお願いします!