Be-YOU-tiful People『Pe’ahi Beckons Vol.1』

岡崎 友子

岡崎 友子
オーシャンアスリート&ジャーナリスト
鎌倉出身。16歳でウインドサーフィンを始め、大学に入ってからマウイに通い、90年代にはウエイブ年間ワールドランキング2位など入賞多数。他にスノーボード、カイトサーフィン、サップ、フォイル、ウイングなどでも黎明期から関わり、世界の情報を日本に紹介している。自分が恩恵を受け、常に多くを学んできた自然を大事にしていかなければという危機感から、近年はキッズキャンプや環境活動にも力を入れている。

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大会のステージが朝日のスポットライトが照らされる、舞台も役者も文句なし WSL/Saguibo

“ビッグウェイブサーフィンヒストリーの新しい1ページ”

12月から3月までのウエイティング期間を持つWSLビッグウェイブツアーコンテスト。
ジョーズという名称で知られるPe’ahi(マウイ島ピアヒ)は、最も大きな波で最もハイパフォーマンスなライディングをするならここしかないと誰もが認めるビッグウェイブの頂点とも言える場所。
サーファーでなくてもそこに立つだけでマナ(ハワイですべてのものが持つ生命力、パワーのようなもの)を感じる。

チューブをメイクするカイ・レニーを見守る運営、セイフティークルーとヘリコプター Si Crowther

チューブをメイクするカイ・レニーを見守る運営、セイフティークルーとヘリコプター
Si Crowther

12月12日、早くも大会が開催された。
マウイ島は風が強いことで知られる。ピアヒの波は大きさだけでも恐怖心をそそるのに、風という要因がさらに波に乗る難度を高くする。
この日はどちらかというと弱い風だったので開催を決定したのだろう。

朝日が昇ってくると巨大な波に光が当たり始めた。
30-40ft の波、そして早朝は無風に近い状態のパーフェクトコンディション。
波を見ているだけで畏敬の念にため息が出る。
午後からどんどん風が上がる予報だったので、ヒートは早くからスタートした。
強風が吹くマウイ島の基準で言えばかなりグラッシーなコンディション、そして波はパドル可能なギリギリのサイズではないだろうか?

チューブを巻く波はなかなかなかったが、あれば誰もが狙っていた。チューブから抜けようとするマクア・ロスマン   WSL/Miers

チューブを巻く波はなかなかなかったが、あれば誰もが狙っていた。チューブから抜けようとするマクア・ロスマン WSL/Miers

メンズヒートは、1ヒート目からビッグウェイブでは知らない人はいない選手がずらり。
トウイギー・ベイカーがセットの波に乗りスタートを切ったあとは、次々と若手がチャージした。
ヘビーウオーターアワードを受賞したばかりのオーストラリアから参戦のラッセル・ビアルキは、その賞にふさわしいヘビーなテイクオフからものすごい勢いで巨大なチューブに突っ込む。
イーライ・オルソンは、計算され尽くした完璧なビッグウェイブを選び、チューブをメイクした。
ノースショアヘビー(ロコ)の代表としてマクアも生半可なことはできない。
最も大きなセットを掴み、堂々としたライディングでこの3人が勝ち上がる。
最高のパフォーマンスだけではない。最大の波だからこそ最悪のワイプアウトもある。

しょっぱなに起こったジェイミーのワイプアウト は見ているものをゾッとさせた WSL/Miers

しょっぱなに起こったジェイミーのワイプアウト は見ているものをゾッとさせた
WSL/Miers

世界中でヘビーな状況を経験してきているジェイミー・ミッチェル、その彼が今までで一番ひどいワイプアウトだったというテイクオフでの失敗は、彼のペースを崩し、頭が朦朧(もうろう)とする中でもう一度ラインナップに戻るも、テイクオフでふらつき、またもやひどいワイプアウトをした。
カリフォルニアのジョージョー・ローパーも、目を覆いたくなるようなワイプアウト。まさに天国と地獄は紙一重。つづく。

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