唐澤予報士のウラナミ『この夏、波があったのはどこ?』

唐澤予報士

唐澤予報士
唐澤予報士:1991年、沖縄でサーフィンを始める。(スノーボードも開始)  1993年、初めてフルマラソンを完走。1999年、気象予報士資格を取得し登録。現在に至り、一児(娘)の父です。

2c2bc99c8a17c9443cd42b4a2277a568

2021年9月30日 神奈川県藤沢市辻堂

このウラナミを書いているのは9月30日で、湘南では9月27日から入り出した台風16号によるうねりが続いています。9月30日の辻堂はワイドな頭~頭半で、すぐに捕まってしまう波が多かったものの、たまの切れた波では数アクション入れてロングライドができました。

この夏(7~9月)の湘南では、自分は合計で34日海に入っており、比較的に波に恵まれていたかもしれません。台風15号を除いた7~9月までに発生した台風14個のうち、上陸した台風は3つ、接近した台風が3つということもあって、波のある日が多かったと思われます。

ということで、この夏(7~9月)にどこで波があったかを調べてみます。

千葉や宮崎などはいつでも波があり、千葉・志田下での東京五輪サーフィン競技最終日も台風によって大荒れのほぼクローズでしたね。そんな、普段は波のある所ではなく、普段は波があまりないのに今年の夏は波が続いたエリアが2箇所ありました。

まずは、和歌山・磯ノ浦。
関西のサーファーにとって登竜門的なポイントですが、波のある日は少なく、波の無い日が多いポイントです。自分は一度だけ行ったことがあるのですが、その日はくるぶし程度の波しかありませんでした。(なお、波を狙って行ったのではなく、別件の仕事のついでに寄っただけです。)
そんな磯ノ浦ですが、今年の7~9月は波が続きました。波情報で確認をすると、波が小さいために「×」となっていた日は、9月は13日と少し多かったものの、8月は4日、そして7月は1日しかありませんでした。7~9月は92日あり、サイズの大小はあってロングしかできない日もあったものの、そのうち74日はサーフィン可能となっていました。約80%確率でサーフィン可能でした。(ちなみに、去年の2020年の7~9月で一日を通して「×」だった日は28日で、一日のうちで少しでもできた日は64日でした。)
9月は台風15号によってサイズアップする前に波の無い日が続いたものの、7月はまったくできなかった日が7月16日のみだったというにはビックリします。ことし、磯ノ浦でサーフィンデビューをした方は、いっぱい練習できたのではないでしょうか。
磯ノ浦9月30日

2021年9月30日和歌山県磯ノ浦

続いて波があったのは、鹿児島の東シナ海側となります。

ホームとされている方には失礼かもしれませんが、サーフィンポイントとしてはあまりメジャーなエリアではありません。波が発達するには、強い風が、長い時間、長い距離に渡って吹き続く、という条件があるのですが、東シナ海は範囲が狭いために風が長い距離に渡って吹くことができないため、波が大きく発達しづらいエリアとなります。

この九州の東シナ海側で波が大きくなるパターンとしては、①台風、②西高東低の冬型の気圧配置、③梅雨前線・秋雨前線の南側で南西風が吹く、というのが代表的となります。長年、波情報の仕事に携わってきたのですが、九州東シナ海側は、梅雨期・台風時期・冬期以外はあまり波が無い、という印象でした。
ただし、今年の夏は波がありました。7~9月の92日のうちサーフィン可能だった日が51日ありました。約55%の確率でサーフィン可能でした。これだけならさほど驚きはないかもしれないものの、何が多かったかというとコンディションの良かった日が多かったこと。東シナ海側は干満の差が大きく、潮が引いている時間しかできないのですが、そんな条件のもと△50となった日が4日あり、◇60となった日も4日あり、オフショア・オーバーヘッドサイズで◇70となった日もありました。
CENTER_0002_BURST20210915061725511.JPG

2021年9月15日鹿児島県江口浜

このように、今年の夏に九州東シナ海で波がある日が多かったのは、台風6号・9号・12号・14号が東シナ海に進んだのと、南シナ海で南西風が吹く日が続いたことによります。

コロナ禍が収束したら、サーフトリップ先として九州東シナ海というのを考えてもいいかもしれませんね!

最近の記事

関連する記事