4/4 Story of The Surf Pilgrim vol-8

Naoya Kimoto

Naoya Kimoto
サーフィンフォトグラフ界の巨匠、重厚なショットが魅力のKINこと木本直哉。 16才でサーフィンを覚え、20才からサーフィンフォトグラフィーの道を歩みだす。1981年から冬のハワイノースショアに通いだし、現在も最前線で活躍中。

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@ Nebama  Iwate

 

 

 

 

img013Masatoshi Ohta @ Nebama  Iwate

 

 

奥の細道・陸奥ロードは更に北へ、更に深く、、、

トップの写真は岩手県釜石市の北に位置する鵜住居川の河口・根浜ビーチのロングレフトだ。

根浜は三陸リアス式海岸独特の入り組んだ大槌湾の奥底にあるため、

普段は静かなビーチだが、岩手にあるどこのポイントもクローズアウトした時だけ覚醒する、

最後の砦とも言われた河口のレフティ。

しっかりとした砂利のバンクが形成されていたため、ほぼクローズアウトすることがなく、

長い長いレフトハンダーとして愛され親しまれてきた。

しかしあの未曾有の東日本大震災による津波によって、

河口に敷き詰められたバンクを全て持っていかれ、

以来ドン深の地形となりサーフスポットとしては消滅した。

つまりこのラインアップは在りし日の根浜の貴重なショットと言える。

確か仙台のマンタロウと陸奥ロードを走り回っていた時、

ヘロシに導かれてこの根浜に辿り着いたと記憶する。

波のブレイクしている場所が岸から遠く、撮影する側からはあまりそそらなかったが、

サーファーからすればファーストセクションからテイクオフすれば

有に300mはライディングできる夢のようなパーフェクションだった。

3・11の悪夢によって根浜のように消滅したポイントもあれば、

昨日のブログで書いた杉岬のレフティは地震によってリーフが持ち上がり、

更にサッキーホローブレイクに変化していったとも言われている。

さて根浜から更に北へ走ると浪板海岸を過ぎ、宮古市に突入する。

この宮古には岩手の顔とも言うべくサーファーブラザーズが存在する。

イシダテケンイチさんとフクカワショウジさんだ。

ショウジさんは婿養子になったため姓が変わったが、

兄・ケンイチさんとは6歳離れた弟で、ヘロシとはほぼ同期だと言う。

兄貴のイシダテさんは東日本大震災があるまではNSAの岩手支部長をずっと務め、

地元でドミンゴサーフショップ宮古店を営んでいた。

そして弟のショウジさんは同じく宮古でウエットスーツ会社を立ち上げ、

オリジナルブランドのパーフェクトウエットスーツから

日本初とも言えるソフトドライスーツを開発していった。

二人のサーフジャンキー度は半端なく厳寒の中でも波が良ければ丸一日海にいる、

そんな伝説を持った北のソウルサーファーと陸奥ロードで出会うことになった。

陸奥ロードの大体のルーティンが、仙台〜釜石〜宮古〜八戸となっていて、

宮古に来た時は必ずイシダテブラザーズが間借りしていた普代の、

お世辞にも綺麗とは言えないクラブハウスに雑魚寝させてもらっていた。

コンビニもない小さな静かな村だが、ストーブを焚き、商店で買った魚やアテで酒を飲み、

盛り上がってきたら借家の隣にあるスナックでカラオケ大会となった。

女っ気もなく(あっモッちゃんがいたか〜笑)野郎だけの男臭い酒宴だったが、

毎度楽しい一夜となり、陸奥ロードでは欠かせないストップバイの場所となっていった。

カラオケで疲れても、飲み過ぎで酔っ払っても3m隣が家なんで、

各自各々が倒れるようにカビ臭いお布団に包まって寝ることができた。

そして東北の寒い朝を迎え、ポリタンクに熱湯を注ぎ、普代のクラブハウスを出発〜

途中サーモンリバー(安家川)をチェックし、大抵はベアーズクリフ(玉川)へ〜

まさに熊が出そうな(実際出ると言う)深い森の高台から眼下を望むと、

玉石のコンパクトなビーチが見え、至る所で波がブレイクしている。

イシダテブラザーズが愛してやまない岩手のストーンブレイク・ベアーズクリフだ。

荷物を持ってこの山を降りて行く時は、熊が近寄らないよう声を出して下って行くそうだ。

このベアーズクリフには何度となく訪れ、良い波に遭遇しているが、

他のサーファーに出会ったことがない。

いつ行っても俺たちだけで、玉石のガラガラガラ〜と言うショアブレイクの音だけ、

山、森、海に囲まれ俗世間から隔離された別世界の雰囲気に包まれる。

朝のピリッとした空気感、逆光にたなびくストーンブレイク、

秋のミッドデイのポカポカとした陽気と鮮やかな紅葉、

深く高い山が背にあるため、午後から突然訪れる夕方の淡い順光に照らされる哀愁の海。

陽が山に隠れると一気に冷え込み、帰途の森も暗く怖く感じる。

そんな全てが愛おしく胸が高揚する陸奥・岩手でのセッションを終え、

いよいよ陸奥ロードのファイナルディスティネーションである本州最北端・青森へ〜〜

(続く)

 

 

 

 

img243 img073 img195Kenichi Ishidate & Shoji Fukukawa @ Bears Cliff  Iwate

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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