9/1 DVD 波巡礼2物語 vol-1

Naoya Kimoto

Naoya Kimoto
サーフィンフォトグラフ界の巨匠、重厚なショットが魅力のKINこと木本直哉。 16才でサーフィンを覚え、20才からサーフィンフォトグラフィーの道を歩みだす。1981年から冬のハワイノースショアに通いだし、現在も最前線で活躍中。

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DVD 波巡礼2 @ Jeffrey’s Bay  South Africa

 

2021年もあっという間に9月。
7月〜8月は異例の長雨が続き、
まともな台風も出来ないまま夏が終わってしまった。
世界的に見てもコロナ禍の終息は見えず、
日本に至っては昨年よりも悪化しているのが現状で、
これまで普通にやってきた海外取材が困難な時代となってしまった。

昨年、過去10年近くの動画をまとめ上げた、DVD・波巡礼2を完成させた。
そこにはサウスアフリカ、タヒチ、インドネシア、オーストラリア、ナミビア、
バルバドス、マルティニーク、ハワイ、
更に母国日本の素晴らしい波、素晴らしいセッションがふんだんに盛り込まれている。
当時は当たり前のようにノースショアシーズンが終わると、
どこかの国へ旅し、帰国すると日本の台風スエルをチェイスし、
また冬のハワイへ戻っていくというルーティンを40年近く続けていた。
ところが世の中はコロナ禍によって一変し、
自由に海外へ旅することができなくなってしまった。
そんな想いでこのDVD・波巡礼2を見返すと、
まさに” DREAM ON ”夢のような旅、夢のような波が蘇ってくる。

 

9月もしばらく台風ができなさそうだし、日本全国波もなさそうなので、
DVD・波巡礼2のバックストーリーでも綴っていきたいと思います〜
まずはサウスアフリカ編から〜〜〜

 

映画はオープニングからそのままチャプター1のサウスアフリカ編・4曲に入ります。
この編のサウスアフリカトリップは2015年と2017年に敢行され、
2015年はイナバレオ、フカガワタツヤ、オオハラヒロト、アライヒロト、カスヤシュウジ、
2017年はソエダヒロミチ、イナバレオ、オオハラヒロト、アライヒロト、モリユウジ、キノカイト、オオタタクトが出演している。
1989年、初めてサウスアフリカ・ジェフリーズベイを訪れ、その後も1990年、1991年の3年連続で、
当時の雑誌サーフィンワールドの取材を行ってきた。
つまりフィルム時代に行った最後の1991年から実に24年ぶりのサウスアフリカ再訪となったわけだ。
時代はデジタル化し、メディア媒体は雑誌からSNSになり、カメラ&ビデオもフィルムからデジタル化されていった。
かつて製作した” TSUNAMI CALLING ”は俺自身一人でスチール&ムービーをこなしていたが、
”波巡礼”での動画のほとんどはアルカスビジョンによって撮影された。
つまり一人二役から二人三脚の撮影方式に変化していったのだ。
この頃サウスアフリカへ行くのはQSのプライムイベント・バリトプロがあった事が前提で、
ジェフリーズはバリトに向けての練習・調整という意味合いが強かった。
しかし当時まだプライムイベントに出れるランキングにいなかったレオとタツヤを誘って、
24年ぶりのサウスアフリカへ飛び、首都ジョハネスバーグからポートエリザベス、そしてジェフリーズへとやってきた。
空から見下ろす赤土の大地・アフリカ大陸は24年前と変わらず美しくかつダイナミックだったが、
ポートエリザベスからジェフリーズまでの道中はすっかり変わり、サバンナの中にメガスーパーや住宅が建ち並び、
ジェフリーズベイの街はすっかりサーフタウン・近代化され、ベイを見下ろす丘の上まで家で覆い尽くされていた。
この時はスーパーチューブのすぐ裏手に宿を取り、まずは俺とアルカス、レオとタツヤがチェックインし、
数日後、シュウジ率いるダブルヒロトらと合流し、計7名の大所帯生活が始まった。
生活は至ってシンプル、東の空から朝焼けが始まる頃、ツーンとした冷たい空気の中を徒歩2分でサーフチェック。
波が良ければすぐにフルスーツに着替えゴーサーフ。
イマイチなら軽く朝食を取ってから様子見てサーフ。
とにかく歩いてすぐにポイントへ行けるので、波が良くても混んでいたら時間をずらしたり、
隙が出来るとクィックにパドルアウトできることも魅力だった。
俺ら撮影班も機材を持ってビーチへ、コンディションによってビーチをアッピンダウンする毎日となった。
物価は安く、肉料理主体の自炊生活だったが、波の小さかったある日、ボーイズはジェフリーズの岩場へ蛸取りに出かけた。
あまり期待しなかったが果たしてレオとヒロトが10分間の格闘の末大物オクタパスをゲットし歓喜の声を上げながら帰ってきた〜
もちろんその日は蛸ナイトとなり、ようやく肉料理から脱出する事ができた。
そんなサイドシーンもディレクターであるパルオは旅の雰囲気・醍醐味を伝えるため編集に取り入れ、
4曲中の1曲はそういったブレイクシーンもふんだんに取り入れていってくれたことが作品のクォリティを更に上げてくれたと思う。
唯一人のグーフィーフッターだったレオはジェフリーズ滞在中ずっとバックサイドを強いられたが、
後にレオのストロングバックハンドを育んだのはこの時のジェフリーズだったと聞かされた。
タツヤはダイナミックかつパワフルなフロントラインでジェフリーズの壁を駆け抜けて行き、
ダブルヒロトはラッドなアプローチで、ビーチにはないポイントブレイクのウォールをホットにホットに攻め込み、
シュウジは持ち前のクリーンなスタイルでジェフリーズの波調に合わせていった。
そしてジェフリーズベイでのファンタスティックなセッションを終えると、
皆はまたいつものコンペティターの顔に戻りバリトへと旅立っていった。
これが2015年のジェフリーズトリップ。

 

それから2年後の2017年、かねてから実現したかったソエダヒロミチさんのジェフリーズをついに敢行することになった。
生きるレジェンドとも言えるヒロミチさんがショートボードであのジェフリーズのショルダーをドライブしていく姿を映像に残したい。
そしてヒロミチさん自身にあのロングウォールを滑って体感してもらいたい、そんな想いで旅の仕込みに入った。
何よりも本人の行く気、やる気があってこそ、地球の裏側にまで飛んで、極寒の中、ヘビーローカルコミュニティに混じり、
いい波を捉えていく、そんなヒロミチさんのサーファーとしてのかっこいい姿を望んでいたのだ。
この2017年のサウスアフリカトリップには、ヒロミチさんと奥様のタカコさん、俺とアルカス、後からレオとモリユウジが合流し、
別でお母さんと来たオオハラヒロト、お父さんと来たオオタタクト、ハワイアンフレンズと来たキノカイトらとのセッションになった。
まずは香港空港でヒロミチさんご夫婦と待ち合わせしたが、ぎりトランジットに間に合うハプニングもあったが、
無事合流でき香港から夜中のロングフライトで、お決まりのゴージャスサンライズでのお目覚めするともうジョハネスバーグ。
そこから1時間半の国内線でポートエリザベスへ〜
空港でレンタカーをゲットして約1時間のドライブでジェフリーズベイ〜と言いたいとこだったが、
オイラ急に便をもよおし、我慢の限界が来たのでハイウェイの路肩に止め、全く人っ気のないブッシュへ飛び込んでいくと、
なんと思ったより下が深く、トゲトゲブッシュの奈落の底まで転落してしまった。
冬物の服を着ていたので体は守られたが、落ちた勢いで便が一気に吹き出してしまったのだ。
これ以上のことはとてもじゃないけど書けないので、、、
とにかく目的地に着く前にこんなヘマをしながらも無事ジェフリーズに到着し、
一番最初にやった事がジーパン、下着の洗濯だった〜〜
そして記念すべきヒロミチさんのジェイベイ1本目は到着した夕方、ややオンショアの4〜5〜
バンピーコンディションながらセットの波をとらえ、いきなりジェフリーズモードに入ったのだ。
ファイアーワイアージャパンの社長でもあるヒロミチさんが動いたと言う事で、
当然マークプライス社長からサウスアフリカにも連絡がいっており
ヒロミチさんはVIP扱いでジェフリーズベイ用のファイアーワイアーを提供され、
ジェイベイのラインアップでは白髪鬼の異名までいただくことになった。
ヒロミチさんとのソロセッション後、ロックダンスライダーのレオが茅ヶ崎のアップカマー・モリユウジと共にジェイベイ入りしてきた。
この頃のレオはQSランキングも上げ、プライムイベント・バリトプロへの出場権をゲットしていた。
一方ユウジはQSには出れないものの、大好きなトムカレンが大好きなジェイベイに来たかったようで、
チーム員ではなかったがヒロミチさんは快くユウジを受け入れ、ロックダンスハウスで皆と過ごすことになった。
またオオハラヒロトはお母さんと共にジェイベイ入りし、連絡を取り合いセッションを共有し、
オオタタクトはお父さんとサウスアフリカのQS戦を転戦しながら2度ジェイベイに立ち寄り、
ショートステイながらもエクセレントウエイブをスコアしていった。
アライヒロトも滞在は短かったが、バリトプロ前にジェイベイ入りし練習・調整を行っていった。
そしてキノカイトはハワイアンチームで動いていたが、皆がダーバンからナミビアに行くとなった時、
何故かカイトだけブッキング漏れし、ナミビアへいく事ができなくなったらしく、
急遽連絡がありジェイベイに行きたいのでケアしてほしいとの連絡を受けた。
ヒロミチさんに相談するとこれまた快く承諾してくださり、
カイトはダーバンからポートエリザベスへ飛び、タクシーに乗ってジェイベイまでたどり着き、
無事ロックダンスハウスにチェックインをする事ができたって訳。
これで、ヒロミチさん御夫婦、キンちゃん御夫婦、レオ&ユウジ、そしてカイトで宿はフルオンとなった。
ヒロミチさんの奥様・タカコさんが居ることによって自炊・料理の幅が広がり、
全く外食することもなく3食家で済ます事が出来たおかげで食費もかなり節約する事ができたし、
波は前回を上回るパンピングで、ついにあのジェイベイがクローズアウトするところまできた〜
流石に午前中は手が出ないと判断し、あのエンドレスサマーにも出てくるケープサンフランシス、
通称ブルースズビューティーと言われるライトのポイントブレイクへ行くもイマイチヒットせず、
とりあえず待機待機の一日だったが、夕方ようやくジェイベイが落ち着きだし、
数人がアウトのマッシーブレイクでサーフしだした。
カミングダウンの傾向があったのでレオ&ユウジ&カイトもハードながらゲッティングアウト。
アウトサイドスーパーチューブから乗り継いでくると、インポッシブルから掘れ出してきて、
そのままエンドのビーチまで繋がっていくようなビッグポイントブレイクだった。
3曲目に使われているレオの8〜10ftはあろうかと思われるビッグ・ディープボトムターンはこのビッグデイに撮影された。
過去4度のジェイベイの中でもこの時のスエルが一番デカかったと記憶している。
そしてチャプター1・サウスアフリカ編のラストとなる4曲目では、
今年オリンピックに出場したヒロトとバックハンドのレオのコラボレーションが素晴らしく、
両者の見事なダウンザラインが世界一のポイントブレイクとも言えるジェイベイ・スーパーチューブで展開され、
魂を揺さぶるような音楽とともに盛り上がり、完結していく仕上がりとなっている。
旅から帰るといつも想う、あれは夢だったのか?現実だったのか?
ましてや今となれば、あの地へ行くことさえままならない、、、
だから行けるうちに行け、燃えるだけ燃えよ、と言うことなのかな〜
大自然はコロナ禍とは無縁に、あの雄大な壮大なラインアップを形創り、
魔法がかかったようにジェフリーズベイのリーフの棚に沿って延々とブレイクして行っているのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

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