2/28 Hawaii Day

Naoya Kimoto

Naoya Kimoto
サーフィンフォトグラフ界の巨匠、重厚なショットが魅力のKINこと木本直哉。 16才でサーフィンを覚え、20才からサーフィンフォトグラフィーの道を歩みだす。1981年から冬のハワイノースショアに通いだし、現在も最前線で活躍中。

AAA_SARF-007

@ Noosa Heads  Sunshine Coast  QLD  Australia  2006

 

本日のノースショア、ビッグイーストスエルがラップし、

ノースのヒットしているところで1〜2〜3。

風はきつ目のトレードウインド、天気は曇り〜雨〜たまに晴れ、、、

現在、ムラサキスポーツのヨシオカトモフミ君が、

ノナカミナミちゃんとワタナベマナちゃんを引率してノース入りしている。

プアーなコンディションでも、毎日ノースの何処かで練習している姿は清々しい。

そんなトモ君と彼の現役時代にオーストラリアを旅し、

一つのサイクロンで、ヌサヘッズとレノックスヘッズという、

オーストラリア・東海岸を代表する2つのクラシカルスポットで波をスコアしたことがある。

まずはその時のヌサヘッズ編の手記からどうぞ〜〜

 

 

 

 

 

img055@ Noosa Heads

 

クイーンズランド州、サンシャインコーストにあるヌーサヘッドは、

オーストラリアを代表する、クラシックなポイントブレイクの一つだ。

美しい森の沸く、ナショナルパークの岬の突端から、

5つの異なったポイントブレイク (granite bay, ti-tree, national park, johnsons, first point) が存在する。

サイクロンスエルなどの、メジャースエルが来なければ、

そのパーフェクションを滅多に拝むことができない、伝説のスポットでもある。

確か、2006年の3月、スナッパーロックの近くに家を借り、

オーストラリアに長期滞在していた、ハヤシケンタを頼って、

トモ(ヨシオカトモフミ)と久し振りにオージートリップを敢行したときのことだ。

クーランガッタエアポート近くの安いレンタカー屋で車を借り、

ケンタハウスに泊まらせてもらい、近場のデュランバーや、スナッパーロック、

たまにはトゥイードリバーを超え、ニューサウスウエールズ方面に行ったり、

バーレーヘッズや、サウスストラッドブロークアイランドに足を延ばしたりしながら、

フォトセッションを重ねて行った。

同時期、スナッパーエリアには、マーが住んでいて、

テッペイやショータ、ユージロー達も居、

アーミちゃん(キタガワナルミ)も毎年恒例のサーフィン合宿を行っていたので、

まさにノースショアスタイルの様に、毎日どこかで誰かと出くわし、

取材/撮影できる環境が整っていた。

オーストラリアならではの素晴らしいサーフブレイクを求めて一日中走りまくり、サーフしまくり、

夜になれば、スナッパーを見下ろす抜群のロケーションに住む、アーミハウスに突撃し、

しこたまビールを飲み、夕闇迫るスナッパーを眺め、酔いが回ったら、帰宅し、

ケンタの作ってくれたディナーをいただき、バタンキューの毎日だった。

そんな旅の後半、サイクロンが発生し、オーストラリア東海岸沿いを、

北から南へと移動していく予報が出た。

正直、ゴールドコーストには、ハワイの様なビッグウエイブスポットが無い。

6~8フィートのスエルが来たら、どこも怒濤のカレントが生じるのは必至。

こんな時どこに行けばいいんだろう?と悩んでいたら、

当時サーファーズパラダイスで旅行会社を経営していた、友人のトム君(日本人だよ)が、

ヌーサヘッドに行きませんか?と声を掛けてくれた。

すっかり俺の視野が、ゴールドコーストに狭められていたのが、パーンと弾けて、

そうだよ、こんな時こそヌーサヘッドがゴーインオフするんだぜ~と、

かつての知識、記憶が蘇って来た。

クーランガッタからヌーサまでは、約250キロの道のりなので、車は一台に絞り、

まず、俺、ケンタ、トモ、アーミ等とで、サーファーズパラダイスのトム君宅まで行き、

彼の4駆の車に乗り換え、そこからフリーウエィで一気にヌーサまでぶっ飛ばした。

フリーウエイはかなりインランドを走るので、あまり海の様子はわからなかったが、

ブリスベンを過ぎてから、高台を走るフリーウエイから遠くにサンシャインコーストの海が見えた。

すっかり、サイクロンスエルによって幾重にも連なるラインアップが、眼下に飛び込んで来た~~

普通のビーチブレイクは、軽くクローズアウトしていることは明らかだ。

いよいよ、ヌーサの大パンピングを拝めるのかと思うと、ロングドライブの疲れも何のその、

再びヴォルテージが急激にアップしていった。

やがて、フリーウエイを降り、ヌーサのツーリストタウンを抜け、

ヌーサヘッドのナショナルパークの中にあるパーキングに辿り着いた。

濃い~森の海沿いに歩道があり、そこを奥の方に向かって行くと、波音が激しくなり、

やがて一つ目のポイントブレイクが見えて来る。

ここは、いまいちサイズもないし、ブレイクもトロトロなので、更に奥へ進むと、

ヌーサヘッドのメインブレイクとも言われる、Ti-Tree の全貌が見えだす。

サイズこそ3~4だが、岩横から砂を巻き上げながらのファーストセクションは、

バーレーヘッズの全盛期の様な形と色合いだ。

テイクオフのホローセクションを抜けたら、後は超ロングライディングが待っており、

パーフェクトに伸びるショルダーを、ボトムターン、リップ、カットバックを織り交ぜながら、

次のポイント、National Park にまで乗り継いで行っちゃうほどだ。

そして、Ti-Tree の更に先には、Granite Bay があり、

ここも、岬の突端からレギュラーのポイントブレイクがマシンの様に転がっていた。

結局、色々チェックしてみたが、Ti-Tree が一番ハードコアなので、そこでサーフすることにし、板、

カメラ、荷物全部を海沿いの岩場に運び、そこをベースにサーフ&シュートセッションに入った。

テイクオフエリアの突端まで、岩沿いを歩いて行き、

セットの合間に岩からジャンプインすると、もうそこはディープテイクオフゾーン。

誰もが岩にくっつくくらいの勢いで、奥に奥に入って来る。

もち、波の知っているローカル優先は当たり前だが、

途中からジェットスキーでトウインまでやりだしたのには参ったね、、、

それでも、ケンタ、トモとも、良い波を捕まえては、オールウエイインサイドまでロ~~ングライドし、

一旦上がり、遊歩道を使って、俺等の居るベースにまで戻り、

一言二言だべっては、また岩から飛び込み、

また、一本の波で300m近いライディングをし、上がって来る、というのを繰り返していた。

ファーストのチューブセクションはおもしろいけど、後はダラダラで、

いまいちリップもしにくく、決まりにくい、ローカルもきついね~、、、

なんて贅沢をいいながらも、何周も何周も、遊園地にいるようにグライドしまくっていた。

一方、アーミちゃんは、首の調子が悪く、ほとんど見学、最後の方でちょろっと入った程度で、

もっぱら俺の話し相手。

友人のトム君は、根っからのサーフジャンキーで、仕事の合間を見つけては、

メンタワイに行ったりするくらいなんで、

今回のサイクロンスエルをヌーサヘッドで出来たことは、本当にストークだったようだ。

俺は、岸からのアクションショットを収めた後は、ラインアップショットを撮るべく、

ポイントをず~と奥の方まで歩いて行った。

さすがオーストラリアのナショナルパークの中だけに、色彩豊かな鳥が飛び交い、

サンシャインコーストならではの暑い陽射し、目に優しい森の緑、

脈々と打って来るサイクロンスエルに、ゴージャスな気分に浸っていた。

海に気を取られ、あまり下を見ないで歩いていた自分だったが、

何故か、何かを感じたのか、足を踏み出した前を見ると、、、、

なんと、見たことも無い、カラフルな虹色の様な、細身の蛇が、道を横切っており、

まさに自分の踏み出した足の着地点にいた~~~!!!

ピクンというか、ギクンと神経が反応し、踏み出した足をグイ~~と更に前に延ばし、

間一髪、この猛毒を持った蛇を踏まず、飛び越すことが出来た。

蛇は全く、俺に反応することなく、道を横切り、再びブッシュの中に消えて行った。

もし、踏んでいたら、もし噛まれていたら、と想像すると、血の気が引く思いだった。

ベースに戻って、このことをアーミちゃんに言っても、

まともに聞いてくれなく、軽くあしらわれる始末。

この戦慄の恐怖心は、ヌーサで俺だけの思い出となった。

そんなこんなで、丸一日ヌーサヘッズで過ごし、また長い長い帰路についた。

年に1~2回ブレイクするかしないかと言われる、

幻のヌーサヘッズのパーフェクションに遭遇できたこと、

毒蛇に襲われなかったことに感謝しつつも、

サーフィンとドライブでへとへとに疲れ切った、友人のトム君に、

明日はレノックスヘッズに行くから、朝4時にクーランガッタに迎えに来る様にと、

鬼の様な指示を出していた自分であった。(笑)

 

 

 

 

img054@ Noosa Heads

 

いよいよ2月も終わり、明日から3月。

ノースはすっかり終わっちまい、舞台はオーストラリア、、、

現在、シドニー・マンリービーチで、ヴィスラシドニーサーフプロが行われ、

メンズはラウンドー3でオオハラヒロトが敗れ、

ウーメンズもラウンドー3でオオムラナオ、マヒナマエダが敗れ、日本人は全滅となってしまった。

そして、いよいよ3月11日から、2018年CTツアーの初戦

クィックシルバープロ&ロキシープロ・ゴールコーストが始まる〜〜〜

すでに12年も前の旅手記だが、写真も文も色褪せることなく、

今もあの時のパッションが鮮明に蘇ってくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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