Shogo Harada @ Da Hui Backdoor Shoot Out
本日のノース、月は変わり2月。
風はWからNNWにスイングしたものの相変わらずのオンショア。
波はノース寄りの4〜5〜でジャンクコンディション。
今日もレキサス・パイププロはオフ、オイラもオフ、、、、
なので今日は、先月行われたダフイ・バックドアシュートアウトで、
8.88 pt と 8.25 pt と言うハイスコアをパイプで叩き出し、
実質チームジャパンの優勝に大貢献したハラダショウゴ君による
2本のチューブライディングの解説、そしてここに至るまでの想いを綴ってもらった。
Shogo Harada @ Pipeline 8.88 pt
今シーズンでシュートアウトに出場させて頂くのは3年目で、
去年と一昨年は思うような波に乗れず2年連続悔しい結果で終わってしまいました。
今回決めれなかったら本当に後がない、
これが自分に与えられた最後のチャンスだと思い試合前から凄いプレッシャーと緊張がありました。
2年連続シュートアウトで良い結果を出せなかったにも関わらず
僕を信じて今シーズンも応援・サポートして下さった
スポンサー様や家族、友達、クラウドファンディングや
シュートアウト出場にあたって応援・サポートして下さった皆さんのためにも絶対に決めたい、
今シーズンこそ決めるという気持ちと覚悟で3度目のシュートアウトに挑みました 。
8.88のライディングはシュートアウト1日目の1ヒート目に乗る事ができました。
この日はお昼にかけてカミングアップする予報で朝は1-2ftくらいしかなく、
試合がオンになるかならないか分からないくらい波のサイズが小さかったです。
サイズが大きくなるお昼頃までの間ロングボードとサップのヒートが行われ、
徐々に2-3ft、3-4ft、と時間が経つにつれサイズが上がり始めていました。
そしてお昼前頃ウィメンズのヒートの途中から10ftくらいのセットがばんばん入り始めて、
予報通りサイズが上がりショートボードのヒートがオンになると知らされました。
カミングアップの新しいスウェルの影響かダブルアップの波が多く、
いつもより水深は浅くて掘れているように感じ、
バックウォッシュも強くてテイクオフの時やチューブにプルインした時に
タイミング悪くバックウォッシュがくるとクローズアウトになり、
パーフェクトとはいえない危ないコンディションで不安と緊張を感じながら
自分のヒートが来るまでビーチで海を見ていました。
朝から波と海の状況を見ていて、このまま午後にかけて更に波がでかくなると思ったので
長めの7.0で行こうと決めました。
自分がパイプラインで目標にしている波は
12ftくらいのファーストリーフピキピキの波に乗りたいので、
このままカミングアップして自分のヒートの時にその波が来たら
7.0じゃないと乗れないと思ったので迷わず7.0をチョイスしました。
そして自分達のヒートが近づきチームジャパンのメンバーと共に
今シーズンもシュートアウトに出場させて貰える事、
パイプラインという場所で日本人5人だけでサーフィンをやらせて頂ける事に感謝しながら
チャネルに向かってパドルアウトしました。
チャンネルに着いてからチームジャパンのヒートが始まるまでの数分間パイプの波を横から見ていて
やはりいつもより水深が浅く波がダブルアップになり
バックウォッシュ混じりの掘れた危ない波が多いなと感じました。
楽しみ、緊張、プレッシャー、恐怖、色んな気持ちが混じりながら
開始のホーンと共に自分が狙っている波の場所に向かって誰よりも最初にパドルし、
スポットに身を置いて波を待ちました。
開始早々目の前にキレている綺麗な形の波が来たのでいこうかなと思ったのですが
リアル君が少し奥の方で漕いでいたのでスルーしました。
すると2本目の波(8.88)が自分の目の前にベストポジションに来たんですが、
自分の狙っている波に比べて少しサイズが小さく感じたのでこの波に行こうか、
もっと待ってドセットを狙おうかほんの一瞬迷ったんですが、
直感でこの波だと判断し体が勝手に動いてあの波にテイクオフしました。
テイクオフの瞬間今までに感じた事のない波の巻きあげを感じ、
かなりレイトテイクオフになったんですが、お父さんのボードが信用できると言うのと、
4年間パイプラインで決めるためにタヒチやメキシコで
沢山バックサイドの練習をしてきたので自信を持ってテイクオフする事ができました。
テイクオフをメイクしチューブにプルインすると少しディープなポジションにいるなと感じ、
走って行くとフォンボールと逆風がむかってくるのが分かり少しやばいかもと思ったんですが、
今シーズンこそ絶対に決めてやるという強い気持ちと4年間今までやってきた事、
応援・サポートしてくれてる方々の思い、
色んな事を感じながら今までにないくらいボードに全体重を乗せて自分を信じて進みました。
フォンボールと逆風に持っていかれそうなったんですが耐える事ができ、
同時にその瞬間スピッツで視界が真っ白になり何も見えない状況になりました。
スピッツの霧で視界が見えなく少しバランスを崩しそうになったんですが
今まで練習してきた事が体で覚えていたのと
お父さんのボードがそのまま勢いよく走ってくれたお陰でメイクする事ができました。
スピッツの霧が薄れて出口から出た瞬間エフカイのライフガードタワーが見え
ビーチからかすかに歓声が聞こえてやっとパイプで決める事ができた、
と純粋に嬉しい気持ちとプレッシャーから解放された安心感、
パイプラインの海やローカルの方々、大会関係者の方々、
沢山の方々に応援・サポートして頂いてこの波に乗らせて貰えたと、
一瞬にして色んな事を心で感じました。
Shogo Harada @ Pipeline 8.25 pt
1日目は8.88の波をメイクする事ができて良かったんですが、
1日目のヒートの最後に乗った波で後頭部をリーフにヒットしてしまいました。
パイプラインで初めて頭をぶつけて身を持って危険な場所で、
もっと海や波、自分と向き合わなければと改めて感じさせられました。
1日目のリーフヒットで少し体調が良くなかったので2日目は試合を休ませて貰い、
代わりにショウヘイにお願いして出て貰いました。
そして2日目が終わってからしばらく波と風が良くなかったので
大会がオフになりタイミング良く数日間休む事ができました。
この数日間色んな事を考えていました。
パイプラインは一歩間違えれば命を落としてしまうという事を身をもって改めて感じ
パイプの波にプルインするのが少し怖くなったんですがここで諦めたくない、
残りのシュートアウト期間でもっと凄い波に乗るためにはどうしたらいいのか、
シュートアウトが始まって1日目にハイスコアを出せて良い流れを掴めている。
今自分が置かれている状況を理解しこんなチャンスは2度と来ないかもしれない、
この流れに乗って更に凄い波に乗る、色んな事を毎日考えていました。
そして数日間の休みの間に木本さんやカモユリさんのアドバイスで病院に行こうと思い、
木本さんがわざわざタウンの病院まで連れて行ってくださり
検査を受けたら何も異常がなかったので安心して残りのシュートアウトに挑む事ができました。
そしてシュートアウト3日目まだ体調は万全ではなかったんですが
数日間の休みでかなり回復できたので3日目は試合に出ました。
3日目は波とのサイクルが合わなかったり、
難しいコンディションに悩まされ決める事ができずに終わり少し焦っている自分がいました。
迎えた4日目シュートアウト最終日、
朝のヒートはその焦りからか良くないサイクルに入ってしまい
朝のヒートも決めれずに終わってしまいました。
午後のヒートまでの時間、ビーチでラスト1ヒート自分に何ができるか
ずっと考えながら波を見ていました。
波のサイズが下がってきて風も悪くなり、
いいコンディションとは言えない中ラストヒート直前を迎えました。
朝に比べて波も下がり風もあまり良くなかったので短めの6.10か6.8で行こうか悩んでいたんですが、
自分の中でセット以外の波を決めても仕方がない、もしかしたら一本くるかもしれない、
最後の最後に一本来る事を信じてその波が来た時に乗れるよう
思い切って7.0の長いボードを選びました。
そして自分達のヒートがきたのでパドルアウトしヒートが始まるまでの間
チームジャパンのメンバーとチャンネルからパイプの波を見ていると段々風が良くなり、
潮が引き始めて海の雰囲気が変わり初めてきました。
開始のホーンが鳴り自分の狙っている波のピークに向かってパドルし波を待ちました。
開始早々マツリクがリズム良く乗っていき、同時に波数が増え始め風も良くなりだし、
ヒート直前までビーチで見ていた時より波のサイズも上がってきて
海のコンデションが良くなっていると気付きました。
しばらく待って目の前に綺麗な形の波が来たので
リズムを掴むためにとりあえず一本乗ろうと思いその波に乗りました。
サイズは思ったより小さかったものの少しチューブに入れたので良いスタートをきれました。
後はドセット一本を狙おうと思いアウトに戻りました。
アウトに着いてすぐにまたマツリクがパイプで乗り、
ビーチから歓声が聞こえたので凄いの決めたんだなと思い自分の中で更にスイッチが入りました。
自分の順番が来るまで待ち、みんな各自乗って行ったので
自分の狙っている波のピークにスポットを置いてドセットを狙っていました。
波待ちをはじめてからすぐに少し左奥のいつもフリーサーフィンの時に波待ちしているピーク方面に
三角の綺麗なうねりが来ている事に気づいたので全力で奥に詰めてパドリングし、
なんとかその波にテイクオフする事ができました。
テイクオフするまでの瞬間初日のリーフヒットの事もあり少し怖かったんですが、
パイプで決めるために今までやってきた事や純粋にパイプで一本乗りたいという気持ち、
絶対決めると言う強い気持ちでテイクオフしました。
テイクオフをしてから波全体を見ると自分がかなりディープなポジションに居ると分かったので、
タヒチやメキシコで沢山練習して覚えたバックサイドのアップスを全力でやりました。
チューブにプルインした時まだディープな場所にいて
ボトムを見るとフォンボールと茶色いリーフがハッキリ見えて
1日目の後頭部をリーフにヒットした時のチューブの景色がフラッシュバックし、
やばいかもと内心思ったんですが今までやってきた事や絶対に決めるという強い気持ちが
お父さんのボードとマッチし波のスピードに勝って1つ目のセクションを超える事ができました。
この時フォンボールが自分の所に飛んでこなかったのは
パイプの神様がフォンボールを抑えてくれていたのかなと思いました。
そしてアップスで1つ目の大きなディープセクションを超えて
2つ目のセクションに入った時波のスピードより自分のスピードが勝っていたので
メイクできると思いそのまま突き進みました。
ふたつ目のセクションを越えてスピッツと共にチューブから出れた時
言葉では表せないほど嬉しくて泣きそうになりました。
小さい頃から夢見ていたパイプラインでお父さんが削ったボードで、
お父さんの目の前で人生の一本をメイクする事ができ、
応援・サポートして頂いた皆さんにみせる事ができ人生で1番幸せな日になりました。
初めてハワイに通い始めてからメキシコやタヒチ、
日本国内の凄い波が立つ色んな場所に凄いサーファー達と一緒にトリップに連れて行って貰い、
人としてサーファーとしてどうあるべきか言葉だけではなく
行動と生き様で教えて下さった木本さんにも人生の一本を撮って貰え、
みせることができて本当に嬉しかったです。

パイプラインでこの波に乗る事ができたのもチームジャパンのメンバーをはじめ、
いつも応援・サポートして下さってる皆様、スポンサー様、両親、
お互いを高め合いながら一緒にサーフィンをしてくれる友達、
ハワイやメキシコ、タヒチ、日本国内で沢山お世話になった方々の
応援とサポートがあったからです。
そして大会関係者の方々や地元の方々をはじめデビットさん、鎌田さん、
今シーズンもシュートアウト出場のチャンスを下さり本当にありがとうございました。
無事怪我なく素晴らしい経験をさせて貰えた事に感謝し、
これからも謙虚な気持ちを忘れず感謝とリスペクトの気持ちを持って
色んな波に挑戦し更に成長できるよう日々頑張ります
手記 ハラダショウゴ
Taizo & Shogo Harada

