7/22 タヒチ物語 by Naoya Kimoto

Naoya Kimoto

Naoya Kimoto
サーフィンフォトグラフ界の巨匠、重厚なショットが魅力のKINこと木本直哉。 16才でサーフィンを覚え、20才からサーフィンフォトグラフィーの道を歩みだす。1981年から冬のハワイノースショアに通いだし、現在も最前線で活躍中。

NKK57827

Boyz @ Tahiti

 

 

A63I4227@ Teahupoo  2022/6/18  7:26am

 

 

 

 

A63I6000@ Teahupoo  2022/6/24  11:34am

 

 

 

ボーイズによる夏休みの宿題・タヒチ物語も無事?終了~(リライト大変ですたワラ)

ラストはオイラの原稿で締めたいと思います。

皆が口を揃えて書いてくれた事は、6/18のビッグデイ、そして6/24のベストデイだった。

特に最終日一日前の6月24日・朝イチの1時間半は、

過去30数年に渡るタヒチ取材の中でも、奇跡と断言できる出来事だった。

旅の流れはこうだった。

6月4日・タヒチに到着、早速翌朝からチョポセッションが始まった訳だが、

丁度自分達が来るまでコードレッド級のスエルで大パンプしていた。

つまり見事にスエルの谷間に嵌まってしまった。

予報を見ても暫くは小康状態が続き、

当初帰る予定だった6月18日が唯一のビッグデイとなっていた。

タヒチ入りしてから1週間が過ぎ、ますます予報の雲行きが怪しくなり、

周りからも滞在を伸ばしたら?翌週は良い予報だよ、の声もあり、

宿代、船代、食費、チケット変更代などあるが、

思い切ってボーイズに相談し、皆の了解を得て1週間滞在を延長することにした。

幸い宿も船も延長OK、むしろグッドチョイスと言ってくれた。

チケット変更もスムースに行き、食費は元々自炊で倹約していたので問題なかった。

まずは6月16日からじわじわとサイズアップしだし、

6月17日のセットは6プラスにまでグロウイン~

そしていよいよ最初のビッグデイ・6月18日を迎えた。

いつものように俺とマエダ君(撮影班)はキャプテン・ラスカルの車で港へ、

そこから船を出し、家前のビーチで待機するボーイズをピックアップ。

いつもよりショアブレイクは高く、沖は波のスプレーで煙っていた。

ボーイズのスペアボードは俺等が運び、すでに船に載せてあり、

ビーチから乗り込むボーイズはいつもよりやや長めのガン、

フロートジャケット、ヘルメットも持参していた。

ビーチからチャンネルを抜けラインアップに到着すると、

すでにボディボーダーやジェットスキーからチェックしているサーファーがいた。

天気は残念ながらトータリーオーバーキャスト、激しく雨が降る時もあった。

風は無く、スエルディレクションはウエスト寄りで、

ドセットは8~10プラス、つまりパドルサーフ限界ギリギリだった。

まずはダイキ、ケンシンが船から飛び込み、狂気のラインアップへとパドルアウト。

続いてタヒチのヤングガン・カウリバースト、オージーのザックヘインズ、

そして様子を見ていたリアル、ゲンもラインアップしていった。

波はこれまでのチョポとは大違いで、ソーティック、ソーホロー、ソービッグ、

セットはとてもじゃないが太刀打ち出来ないほどソリッドだった。

そんなエクストリームなコンディションでもマツナガブラザーズのチャージは凄まじかった。

ダイキは一発目からホレホレの波に手を出しヘビーパーリングを強いられながらも、

セッション中盤、最もチョポらしいピキピキテイクオフからのギリギリボトムターンで

リップを寸分で掻い潜り、肉厚のグリグリバレルに飛び込み、

追いかけてくるフォンボール、猛烈なスピッツと共に噴き出され、

One of wave of the day を決め、全ての船から大歓声が上がった。

一方、弟のケンシンは熱きバックサイドプルインを繰り返し、

恐らく今回のトリップで最もディープなポジションから、

一番デカイ波をバーティカルテイクオフでチャージしていった。

結果驚愕のワイプアウトとなりメイク出来なかったが、

ボートから一部始終を見守っていた俺は息を飲んだ、手が震えた。

俺の知るケンシンが予想を遥かに超越するチャージを見せてくれたこと、

そして大丈夫か?怪我はないか?

そんな心配と感動をよそに、ケンシンはサバイブし笑顔でパドルバックしてきた。

もうケイトやショウタの様な特筆すべきバックサイダーは

暫く日本から輩出されないと思っていたが、

また新たな若き獅子がここにもいる事を確認することができた。

このビッグデイで印象に残った二人とは裏腹に、

リアルは一本目の波で吸い付くようなプルインを見せつけながらも

トゥーディープ、フォンボールの奥の奥でワイプアウトを強いられブローキンボード。

インサイドには持って行かれず、泳いで船に戻って来れたが、

すでにここまでで数本の板を折ってしまっていたので、

無理にスペアボードで入ろうとせず、リアルはこの日沈黙を保った。

そしてゲンはドセットには手を出せず、ミディアムセットを数本乗り、

納得のいくチャージを見せることができなかった。

この日は他にタヒチのカウリバースト、フェリックスボーゴン、

オーストラリアのネッドハート、ザックヘインズ等の

素晴らしいチョポアタックが光った。

波は正午前が一番凄かったが、午後1時過ぎからは雨が激しくなり、

セット間隔も長くなり、海もよれだしてきたので、

朝イチからの長かったビッグチョポセッションを終え引き上げることにした。

本来なら今夜タヒチを発つスケジュールだったが、俺達にはまだ後1週間ある、

トリップ後半にきっと良い波が来ると信じていた。

このスエルは翌日からダウンしていきながらも極上の3~4~5~チョポを堪能。

ここまでの経験からかボーイズも見違えるほどの成長を遂げ、

チョポのルーティンを守りながらも、キッチリと良い波を捉えるようになっていた。

一旦スエルの底となり船を出さない1日があったが、

予報通り6月22日の午後二からニュースエルがフィルインしだしてきた。

この頃からチョポのお天気モードが変わり、

ウインディ&ウエットからグラッシー&ドライコンディションと化し、

ツルンと風無し、ドピーカンの快晴の日々が続くことになった。

今回のスエルはサウスディレクションで、激しいウエストエンドボウルよりも

サウスポイントの方からクリーンなパーフェクションを保った

理想的なビューティフルチョポの姿となった。

6月23日は5~7~の綺麗なチョポでタヒチアンローカルと終日セッション~

心底滞在を延長して良かったと痛感することができた。

皆も確実に良い波を捉える様になったので、夕食後の上映会も盛り上がった。

そしてトリップ中のザデイとなった6月24日。

この日はキャプテン・ラスカルが他のグループの仕事が入っていたため、

急遽ドーレンスダビッド(ポトの甥っ子)の船で出動することになった。

ラスカルの船よりも小さかったが、

何よりもかつて何十年もお世話になってきたモアナダビット(ポトの兄)の甥っ子、

当時まだまだちびっ子だったドーレンスとの再会にストーク。

そしていつもより少し早めの出発で沖に向かうと、、、、、

まず誰も居ない、他の船もない、そこに6~8~のエンプティウェイブが、、、

まだ山間から朝陽は昇ってないが、満天の空には翳りのない無数の星、

無風の海はまさにオイルフェイス、この世の物とは思えない美しさがあった。

とにかく他のサーファーや船がやがてやって来るので、

こんなチャンスは逃すまいとボーイズも速攻船からジャンプアウト~

昨日よりもサイズアップし、波数も多く、何よりも波に乱れがない

ソ~~パーフェクションのチョポにジャパニーズボーイズの4人だけなんて、、、

更に撮影側からしたら他の船が無いのでポジションが取りやすく、

何よりもストレスがなくラインアップに集中することができた。

やがて山間からタヒチならではのシャープな朝陽が差し込み、

チョポの海・波を照らし出すと、更に更に愛おしいカラーを醸し出してくる。

そんな中、ダイキ、ケンシン、ゲン、リアル等は次々とセットを乗り込み、

ほぼほぼ100%カミンアウト、スピッツと共にメイクしてくる。

特にこの日のリアルは神がかったライディングを披露。

ゲンも自身の限界をプッシュするサーフィンには驚かされた。

こうしてドリーム・ミラクルセッションが1時間半近く続き、

俺とマエダ君は、なんで誰も来ないんだろう?

普通ならパドルでボディーボーダーは来てるよね?

他の船やジェットスキーも来ないなんてありえないよね~と話し合っていた。

波が良いのは昨日から予想できたし、

これだけ良い条件が揃ってるチョポも珍しいくらいなのに不思議な出来事だった。

午前6時半からセッションがスタートし、午前7時過ぎにはファーストライトが照らされ、

午前8時までとうとう誰も登場せず至福の時・波を味わったボーイズ。

やがてパドルで、ジェットスキーで、船でやってきたサーファーで

ラインアップは日常のチョポに戻っていった。

波はもちろんまだまだパンプ・パンピン~

風は吹かず、天気は最高~

ラインアップが混んできてもハッスルする事なく、

ジッと狙いのあの波、あのセットを待ち続けるハンブルな姿勢は

他のサーファーからも称賛された。

代わる代わる船に戻っては水分補給、栄養補給してはまたラインアップへ、

午前6時半から始まったセッションは午後3時過ぎまで続き、

急に天気・風が悪くなり、皆もやり切った感もあったので

6月18日に続くロ~ングセッションを切り上げて退却~~~~

後1日を残していたがなんだか完全燃焼感に包まれた6月24日となった。

しかし最終日となった翌・6月25日はモアビガー、モアウエストとなり、

海はよれ、かなりヘビーなコンディションとなった。

それでも最後の力、想いを持ってボーイズはサーフドアウト。

大きな怪我、病気、トラブルなく全力で3週間のタヒチトリップを駆け抜けた。

いつも思うことだが、旅は BAND ON THE RUN

皆が一丸となって目的に向かって突き進むこと。

そして波が微笑んでくれるか否かは大自然の流れの中にあるということ、かな。

 

By Naoya Kimoto

 

 

 

 

 

NKK57648@ Teahupoo  2022/6/24  7:22am

 

 

 

 

 

NKK58749Band on the run  2022/6/25 14:10pm

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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