大原洋人プロ×糟谷修自プロ 波伝説スタッフ上條将美がインタビュー!

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ハーレープロのトライアルで優勝してCT戦のワイルドカードを獲得し、その後、サーフィン界で最大のイベントとも言われるカリフォルニア・ハンティントンビーチでのUSオープンで優勝。日本人初のCT選手への道をひた走る大原洋人プロ。

そんな今大注目の大原洋人プロと、自身「BIG 4」と言われ日本のトップに君臨していたコーチの糟谷修自さんに、波伝説スタッフ上條将美がコンペティター目線による突撃インタビューをした。
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大原洋人プロへの質問

・2~3年前から次の時代は大原洋人君と言われ、ここ最近、特に活躍が目覚ましいですが、きっかけなどありますか?
トレーニングはそこまでしてないし、そんなにこれといったものはありませんが、去年あまり結果が良くなく、今年は良い結果を出したいと思っていた中で、自分に必要なことが徐々にわかってきたこと、調子の良いボードが手に入ったことですかね。
また、修自さんと多くのことを話し、アスリートビザを取得してベースもハワイの修自さんの家に移して一緒に住むようになったことも大きかったです。なので、この時期はハワイ・サウスショアでのサーフィンが多いです。

 

・今までCTに入れた日本人サーファーはいませんが、入れる自信はいつころから持っていましたか?
それほど自信がある、というわけではないですが、世界を回っている他の日本人と比べて自分がCTに一番近い道を進んでいて、その結果が出たのかな、と思います。このあとも自分のベストを尽くし、そのうえで結果がどう出るのか、といった感じです。

 

・洋人君のサーフィンの練習方法を教えてください、また、練習中に考えていることは?
ほぼ毎日サーフィンしています。
ただ、ノースショアの時期2か月くらいはたくさん練習しますが、それ以外は特別朝早く起きるとかはなく、1日1~2ラウンドで、それほど長く入らず短時間で集中して練習するようにしています。

また、最近では、ブラジルのプライムイベントのレフトブレイクのコンディションで全然乗れずに負けたので、ハワイに帰ってアラモアナボウルズのレフトでバックサイドオフザリップを徹底的に練習していました。その後、ハンティントンのUSオープンではレフトの波が多かったので、その成果が出て優勝できたのかな、という気がしています。

それと、プライムイベントに出てくる選手は皆ここぞというところで決めてくるので、自分もそういうのを意識して、ここぞというところで決められるようにエアーを練習し、ターンの練習をしています。また、同じようなセクションでも色々な違うターンができるように心がけています。

 

・サーフィン以外のトレーニングについて教えてください?
基本的には今住んでいる修自さんの家の裏にある山道を12分間走って登る、ということをしています。そこは途中から傾斜が急になる所で、かなりキツイです。

また、サニー・ガルシア、ジョエル・センティオ、イジキール・ラウなどのコーチをしていた人に見てもらって毎回違うメニューのトレーニングをしていました。

東京では修自さんの知り合いの格闘家に習ったり、千葉では近くのジムに行ったりして、全くやっていなかった、という時期はありません。

 

・イメージトレーニングはしていますか?
日常の中で修自さんと常にサーフィンの話をするようにしていました。例えば、ミック・ファニングのサーフィンはこういうライン取りだとか、このサーファーは何が良い、何が悪いとか、コンテストのライブを見ながら敗因がどこなのかとかです。
精神的なことではこれが良い結果が出た一番の理由だと思います。

 

・ヒート前、ヒート中は何を考えていますか?
ヒート前はヘッドホンで音楽を聴きながら集中力を高め、どこで待つとかこういう流れで試合を運ぶとかを何パターンか考え、ヒート中は勝ち負けをあまり考えず、とにかく自分の思い描いた作戦を実行するようにする、という感じです
また、常に待つ場所を気にするようにしています。
波が来ないヒートではポジションの少しのズレでだいぶ変わってしまうので、そういうミスをしないように心がけています。

 

・オールラウンドボードのサイズを教えてください?
サーフボードに関しては現状スポンサーをつけることなく自分の好きなシェイパーのボードを乗るようにしています。
体重は63kgで、長さは5’7 1/2か5’8で、幅が18 1/8、厚さは2 1/4。フィンはほぼトライフィンです。

 

・トラッセルズのハーレープロ、CTについてのイメージや抱負を教えてください?
以前、15歳くらいの時にカリフォルニアに行ったときはほぼ毎日トラッセルズでサーフィンしていました。
トラッセルズでの大会は初めてで、そこでCT選手と戦えるというので、とても楽しみです。なので、誰が対戦相手でも良い波に乗って、良いライディングができたらなと思っています。

 

・CTのツアーにはタバルア、チョプー、パイプラインなどハードなポイントも多くありますが、これらについてはどうですか?
毎年ノースショアには行っていますが、自分の中では少し苦手意識があるので、今以上にチューブのスキルなどを上げていきたいと考えています。

 

・お父さんはどういう育て方でしたか、怖いですか、試合で負けたら怒られましたか?
イヤイヤ、全然怖くないですね。無理やり海に連れて行かれることもありましたけど、サーフィンに関しては海に入るタイミングなど自分のやりたいようにやらしてくれました。
もちろんサーフィンしちゃダメと言われたこともないです。
また、小さいころは練習のときや一緒にビデオを見ているときなどに、こうしたほうが良いとか、上手い人に共通する特徴などをお父さんなりに教えてくれたりしました。
試合で負けても怒るとかはなかったですね。どちらかというとお母さんに怒られていましたかね。

 

・好き、嫌いな食べ物は?
お肉系がかなり好きですね。苦手なものはトマトです。

 

・次の大原洋人君を目指すサーファーにレベルアップするための秘訣を教えてください?
もちろん練習が大切ですが、楽しんでサーフィンすることが一番大事だと思います。例えば、親に無理やりやらされてとか、やりたくないのにやってとかだとサーフィンもつまらないし、上手くなったりしないと思います。
自分のなりたいサーファーのビデオを見るのも良いと思いますし、とにかく楽しんでやれば上手くなるのかなと思います。

 

・ハーレーチームに入って良いことは?
他のチームと比べてサポートは素晴らしいと思います。特に、修自さんといつも一緒ということもあって心配することが何もないというか、知らない国でも安心して行けるという感じです。
また、海外のスタッフもすごい良くしてくれて、すぐに仲良しになってくれるのもハーレーチームの良いところだと思います。

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糟谷修自さんに質問 

・大原洋人プロのコーチになってどれくらいですか。
3年半くらいかな。

 

・当初と今と変えたことなどありますか?
まずは、サニー・ガルシアなどを教えていたコーチを付け、食生活もアスリートが摂るべきものに変えたね。だから、試合前の食事はほとんどこちらで決めているよ。
また、遠征先での泊まる場所などを一流選手達と同じようなところに変えたかな、ただ、一番の変化はベースを千葉からハワイに変えたことだと思う。

 

・修自さんは大原プロ以外の選手のコーチはしていますか?
ハーレーチームの大橋海人など、会場にいればもちろんアドバイスするよ。ノースショアで一緒にサーフィンしたり、家に来たりしたこともあったかな。

 

・大原プロは今年一気に成長した感がありますが、修自さんから見てどうですか?
一気にというよりは、3年くらい時間をかけたことでかなり成長したと思う。
3年前とサーフィンのスタイルは似ているけど、サーフボードからメンタル的なことまでかなりチューンアップしたから。そういう意味では時間はかかったよね。
でも、最近のUSオープン、ハーレープロのトライアルでは、リズム、サーフボード、何もかもが洋人にとってプラスになることばかりで、怪我もなく、サーフィンだけに集中できたこともあって良い結果につながったと思う。

 

・サーフボード選びについてはどうですか?
もちろん、世界のトップシェイパーにボードをオーダーしているよ。
そして、ハーレーチームにはジョンジョン、フィリぺ、コロヘ、エースなどのトップライダーがいて、そのライダーたちに直接コンタクトを取って彼らから良いサーフボードのデータを収集できる。
今どういうサーフボードに乗っているのか、どこのブランクスか、どういうロッカーか、どういう巻きか、何のモデルか、それを洋人にあてはめてボードオーダーしているよ。

 

・ヒート前、どのようなコーチングをしますか。また、その時は例えばポジショニングなど2人で決めますか、それとも修自さんのアドバイスに従っていますか?
だいたいのパターンは、まずは各自それぞれがポジショニングなどを考えておき、ヒート直前に二人で相談して決めているね。海外では別のコーチも加わることもあるね。どこのどの波が点がでやすいのか、潮回りなども考慮して、ここでしょ、あそこでしょみたいに。
ただ、今は4人ヒートでもプライオリティーのルールが加わったのでだいぶ違うよね。
プライオリティーを持っていればベストな波を選べばいいし、持っていなければそれに近いバックアップの波を勘も使ってフットワーク良くみつけるようにする、という感じかな。

 

・ちなみに負けた後に怒ることはあります?
怒ったことはないね。負けたことを怒ってもしょうがないよね。とにかく良いところを引き出してあげるようにしている。子供って叱れば叱るほど伸びるかというとそんなことはないと思うし。でも、すぐには言わないけど、落ち着いたときに必ず二人でどうして負けたのかの敗因は話すようにしているね。話してお互いに理解し、その敗因を次の試合ではしないようにする。ミスをしなければ試合って勝てるものだと思うし、すぐにスーパーマンになれる人もいないし、結局はどのくらい冷静に自分のサーフィンができるかできないかということ。敗因って自分のミスから起きることで、自分のミスがなければないほど勝てる確率は高くなると思う。

 

・今、多くの親が自分の子供を第2の大原洋人君にしたいと考えていると思いますが、アドバイスをいただけますか?
一概にどういうコーチングをすれば良いというのはないのかなと思うよね。特に小さいころは伸びしろというか、伸びるときと伸びない時の差が大きいから、スランプや壁にぶつかったときにそれを乗り越えられるようにその子たちの一番良いところを引き出してあげることが大事だよね。

どこも一緒で世界中の親は皆だいたい熱いよね。でも、親だと感情的になってしまうことが多いから、そういう意味では第三者としてコーチが必要なのかもね。
ただ、お父さんと回ってワールドチャンピオンになったガブリエル・メディーナの例もあるし、とにかく人それぞれで、この親だからダメ、このコーチだからダメというのはないと思う。それぞれ色々な道があって絶対に違うものだから。

 

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