【WSLニュース】アレックス・ボテロー「僕は生きている」

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以下WSLニュースより
3月29日
BEN MONDY

Nazare Tow Surfing Challengeの最終ヒート残り5分、アレックス・ボテローとヒューゴ・バウのポルトガルの最も経験を積んだ2名が、どのビッグウェイバーでも起こりうる異変に巻き込まれていた。

ボテローは波をつかんだ後、バウのスキーによってピックアップされるところだったが、その場所が波のインパクトゾーンだったため、ボードとスキーが激しく衝突し、彼らの身体は空中へと放り出された。

水面に浮かんだボテローは、意識不明が確認され、レスキューチームによって蘇生が行われた後、近くの病院へと運ばれた。
15日間の入院を経て、ボテローは無事に家に戻った。
WSLは、事故そして復活から将来のプランをインタビューした。

ナザレでのアレックス・ボテロー/WSL / Laurent Masurel

ナザレでのアレックス・ボテロー/WSL / Laurent Masurel

WSL:まずは退院おめでとう。早速、事故の時の状況を聞かせてもらえるかな?

アレックス:スキーのスレッドに乗った時のことは今でも覚えています。南側からだったか崖側からか次の波が来ていて、北側に向かって逃げるしかなかったのです。
するとまた次の波が来たことを覚えています。その時、セットが入っていて僕のいる場所は危険だとわかりました。
そしてその波のサイドウォッシュが僕らをスキーと一緒に中へと投げ出したのです。
着水した時は、肺と頭に大きな衝撃があり、そこからの記憶がありません。

その衝撃はスレッドにぶつかったもの、それともスキー本体にぶつかったもの?

スレッドでした。胸を打ち付け、肺がパンクしたと思いました。頭の方はそれほど辛くなかったです。肺への衝撃の方が恐怖でしたね。

その後の記憶は?

その後に覚えていることは、ビーチで聞こえた声です。そして、最初に目を開けた時には救急車の中でした。最初に見た人は彼女とヒューゴで、その時に僕は生きていると実感しました。

病院での最初の診断はどうだったの?

僕は酸素の無い状態が長かったので、脳へのダメージがないかをスキャンされました。
病院の先生からは10分もの間、酸素が取り込めていなかったそうです。再び呼吸するようになるまでは、6分間は水の中で、4分間はビーチに無酸素でいたことになります。
幸いにも、スキャンの結果は良好でダメージはありませんでした。

無酸素状態でその長さは信じられないね。
間違いないです。先生は、通常は脳に損傷がでる時間帯は3~4分だと言われました。重傷にならずに済んだのは様々な理由があると思いますが、僕は本当に幸運だったと思います。

他にも怪我したところはあったの?
やはり肺には穴が空いていて、両方の肺にはたくさんの海水が入っていました。その海水によって感染症も起こっていました。
打ち付けた肺の周りの筋肉は痙攣(けいれん)し、感染症もありました。

感染症はどんなものだった?
入院した日の夜、急に息が出来なくなりました。人工呼吸器を使い、肺に残る水を抜き、肺の空気を外に閉じ込めました。
その後は何とか安定して数週間後には家に帰ることができました。

復帰までのプロセスはどうするの?
筋肉と肺は一番に治す必要があります。今でもまだ100パーセントの呼吸ができていません。まずはそこを完全にしてから、運動も開始していきまが、肺への負担も上げていきたいですね。
3~4ヶ月はかかると思います。ただ肺がどのように回復しているかを見るためのモニターが欲しいです。それが確認できれば、肺を強めるための有酸素運動が行えますので。

事故の前に日を戻すけど、ヒューゴと臨んだイベントはどうだった?
とても調子が良かったです。互いに協力してリスペクトしあっていたので本当に馬が合っていました。大きなセットではないものの、形の良い波に乗れました。
僕はとても幸せです。最後の最後までとても楽しんでいました。

救助されるアレックス・ボテロー/WSL / Laurent Masurel

救助されるアレックス・ボテロー/WSL / Laurent Masurel

あの日は、ヒートの時間的にも遅かったことが事故につながったと思ってる?
もしもフリーサーフィンだったら、あの波には手をつけてないと思います。でも、コンペでは点数が欲しいし、次の波がどんなものかを予知することができないから手を出しました。
もちろんナザレのリスクは知っています。それを計算した上でも難しい時があります。

次の目標は?
それを考える時間がたくさんありましたが、僕の目標は変わっていません。
僕はナザレに戻り、他の国のビッグウェイブも追いかけたいです。
海にいかに早く戻れるかは僕自身に委ねられています。
とにかく今は復帰できるように専念します。

最後にサーフィン界に何かメッセージをもらえるかな?
皆さんに感謝を伝えたいです。サポートしてくれた一人一人に感謝しています。
本当に感動したし、自分にとって辛い出来事から立ち直るきっかけとなりました。
このことは一生忘れません。

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