
2026年7月31日、茅ヶ崎市と公益社団法人日本サーフィン連盟(NSA)は、相互の資源や専門性を活用した協働活動を推進するため、包括連携協定を締結しました。
日本サーフィン連盟が自治体と包括連携協定を締結するのは、全国で初めてとなります。
締結式には、茅ヶ崎市の佐藤光市長、日本サーフィン連盟の寺尾恵一理事長、NSA湘南茅ヶ崎支部の三橋一巳支部長らが出席。協定書への署名と交換を行い、サーフィンを軸とした新たな地域づくりのスタートを切りました。
競技の枠を超えた「サーフィン×行政」
今回の協定は、茅ヶ崎市と日本サーフィン連盟がそれぞれ持つ資源や知見を活かし、地域資源を活用した新たな価値を生み出すことを目的としています。
環境保全や次世代育成、サーフィン文化の普及・魅力発信、企業との共創など、7つの連携事項を軸に、継続的な事業を展開していく方針です。
佐藤市長は、今回の締結について次のように期待を語りました。
「サーフィンが暮らしに息づく茅ヶ崎と日本サーフィン連盟ががっちりと手を組み、『サーフィン×行政』の全国トップランナーとしてスタートラインに立てることを、市長としても一人の市民としても心から嬉しく思います」
競技大会の開催や選手強化だけではなく、海洋環境、教育、健康、地域コミュニティなど、サーフィンが持つ幅広い価値をまちづくりへとつなげていきます。
NSA寺尾恵一理事長も次のようにコメントしました。

「日本を代表するサーフタウンである茅ヶ崎市と包括連携協定を締結できることを、大変うれしく思います。茅ヶ崎では、海とサーフィンがスポーツという枠を超え、市民の暮らしや地域文化の一部として大切に受け継がれてきました。また、NSA 茅ヶ崎支部を中心に、長年にわたり大会運営、選手育成、環境活動などを支えていただいています。NSA は、競技力の向上だけでなく、安全にサーフィンを楽しめる環境づくり、子どもたちの健全な育成、海岸環境の保全なども重要な使命と考えています。今回の協定を出発点として、茅ヶ崎市の皆さまと力を合わせ、次世代の子どもたちが海に親しみ、夢や目標を持って成長できる環境をつくるとともに、茅ヶ崎の素晴らしいサーフィン文化を未来へつないでまいります」
茅ヶ崎のサーフィン文化は「暮らしそのもの」
茅ヶ崎に根付いているのは、単に波に乗るという競技としてのサーフィンだけではありません。
朝、自転車で海へ向かい、波に乗り、ビーチクリーンを行い、そのまま仕事や地域の日常へ戻っていく。サーフィンの前後も含めたライフスタイルそのものが、街の風景に溶け込んでいます。
市は、この茅ヶ崎ならではの文化こそが地域の大きな強みであると説明しました。
締結式後の質疑では、佐藤市長がサーファーの行動について、印象的なエピソードを紹介しました。
あるプロサーファーに「なぜビーチクリーンをするのですか」と尋ねたところ、返ってきた言葉は、
「家の中にゴミが落ちていたら、拾うでしょ?」
というものだったといいます。
人命救助や海岸清掃、海辺のマナー維持などを、誰かに評価されるためではなく、日常の一部として続けてきたサーファーたち。その存在と活動に対して、市民が改めて理解と敬意を持つことも、今回の協定が目指すものの一つです。
海洋環境教育を次のステージへ
環境分野では、2026年6月7日に実施された「美化キャンペーン・クリーン茅ヶ崎」に、日本サーフィン連盟が特別協力として参加しました。
今後は海岸清掃にとどまらず、NSAが長年培ってきた海洋環境に関する知見や、サーファーならではの視点を取り入れた「海洋環境教育プログラム」の導入も検討されます。
寺尾理事長は、NSAが約60年にわたって海岸清掃活動を続けてきたことに触れ、海洋プラスチック問題などに対して、行政と具体的な取り組みを進めていきたいとの考えを示しました。
海を最も身近に見続けているサーファーの経験を、行政の環境施策や子どもたちへの教育に結び付ける取り組みが期待されます。
プロアスリートの経験を子どもたちへ
次世代育成では、プロアスリートによる学校訪問などを通じたキャリア教育を継続的に実施する予定です。
競技の技術だけではなく、目標への向き合い方、失敗から立ち上がる力、進路を選択する際の心構えなど、トップアスリートの経験を子どもたちに直接届けます。
また、2026年8月29日には、TAC茅ヶ崎市屋内温水プールで、小学4・5年生を対象とした「サーフィンスポーツチャレンジ Presented by ENEOS」が開催されます。
海や波に不安を感じる子どもたちにも、身近で安全なプールを使ってパドリングやサーフボードに立つ体験をしてもらい、サーフィンの楽しさと海の安全を学ぶ機会を提供します。
松田詩野選手もビデオメッセージ
締結式には、茅ヶ崎市出身のプロサーファー・松田詩野選手からビデオメッセージが寄せられました。
松田選手は、生まれ育った茅ヶ崎市と、幼い頃から関わってきた日本サーフィン連盟が協定を結ぶことへの喜びを語り、次のようなメッセージを送りました。
「今回の協定をきっかけに、サーフィンを通じて海の大切さを知る人や、サーフィンを始める子どもたちがもっと増え、茅ヶ崎がさらに元気な街になっていくことを願っています」
会場には松田選手のサーフボードも展示され、本人は大会に向けた練習とトレーニングのため出席できなかったものの、茅ヶ崎と日本のサーフィンの発展に向けた思いを届けました。
茅ヶ崎から全国へ、新たなモデルづくり
寺尾理事長は、茅ヶ崎市との協定をモデルケースとして、今後はほかの自治体とも同様の連携を広げていきたいとの考えを示しました。
サーフィンを競技としてだけでなく、環境保全、教育、人材育成、健康増進、地域経済、企業連携などをつなぐ社会的なプラットフォームへと発展させる。その第一歩が、サーフィン文化が日常に根付く茅ヶ崎から始まります。
茅ヶ崎市は2027年10月に市制施行80周年を迎えます。
行政が主導して新しい文化をつくるのではなく、これまでサーファーや地域住民が積み上げてきた文化を尊重し、活動しやすい環境を整え、その価値を次の世代へつないでいく。
今回の包括連携協定が、茅ヶ崎の海とサーフィン文化を守り、さらに磨き上げるための実効性ある取り組みへと発展することが期待されます。




