アウトドア企業のパタゴニア・インターナショナル・インクは、健全な河川の重要性を広く伝え、日本全国で進められている地域に根ざした3つの活動事例を紹介します。
これらの取り組みを通して、それぞれの「ヘルシー・ウォーターズとは何か」を共に考える機会を創出し、豊かな河川環境の再生に向けた対話を深めていきます。
このキャンペーンでは、野生の川と自由に流れる水が持つ、私たちの生命を育む重要な役割に光を当てます。
それらの役割は、炭素の隔離、温室効果ガスの抑制、気温や水温の調整、水の循環の整備、生物多様性の保護、自然の回復力の育成など、多岐にわたります。
ヘルシー・ウォーターズ・キャンペーン 公式サイト
https://www.patagonia.jp/healthywaters.html
「日本は川に恵まれた国です。日本列島が人間が暮らしやすい豊かな土地になったのも、またそうした川の作用によるものです。川のすばらしさや価値について知らない人はいないでしょう。自然のままの健康な川は飲み水をもたらすだけでなく、洪水や旱魃による影響も抑えます。けれども、現在の日本の流域は水源から海にいたるまで人間の活動がもたらす無数の脅威にさらされ、その河川環境は過去半世紀の高度経済成長期以来、急速に悪化の道をたどっています。
いまや日本の大半の川の流路と運命は、人間が思いどおりに決めています。川に残されるのは本来の名前だけです。川は日本の生態系の活力源であり、川の健康は人間の健康に直接影響します。このままでは、やがて人間は大きな代償を払わざるを得なくなるでしょう。一方で、時代遅れとなった管理手段に取って代わる選択肢もあります。私たちが姿勢を変えて行動を起こせば、日本の川と流域の健康を取り戻すことはできるのです。」
『日本の川と流域を救う』より抜粋
— パタゴニア創業者 イヴォン・シュイナード
ヘルシー・ウォーターズ
野生の川と自由に流れる水。
それは私たちの地球の守護者であり、変化する気候による災害を軽くし、減らすため、静かに働いています。
それは炭素隔離、温室効果ガスの抑制、気温や水温の調節、水の循環の統制、生物多様性の保全、自然の回復力の構築をし、気候危機が加速する世界における生命線となっています。
川は水以上のものを運ぶ。
私たちの生命を運ぶ。
私たちはすべての生命が相互に関係しあっていること、そして地球とそこに住む人間を含むあらゆる生物の幸福に、ヘルシー・ウォーターズが多大な影響を与えることを知る必要があります。
日本の健全な川を取り戻すための3つの地域事例
「ヘルシー・ウォーターズ」キャンペーンでは、私たちにとって健全な川と水とは何なのかを人びとに問いかけ、考える場/機会を作ります。またそれを考えるうえで、具体的な3つの取り組みを紹介し、参加を呼びかけます。
北海道 道南・朱太川水系:ダムのスリット化や撤去による河川環境の回復
北海道道南エリアでは、長年にわたり、サケ・マス類の遡上を妨げてきたダムの改修や撤去が進められています。
地域住民と行政の地道な協力により、多くのダムに手が加えられ、サケの漁獲量が過去最高を記録するなど、目覚ましい成果が出ています。
黒松内町はパタゴニアと包括事業連携協定を結び、ダム撤去に向けたアクションを始めています。
朱太川の自由な流れを取り戻し、下流域への土砂供給やサケ・マス類資源量の増加による健全な河川環境の回復に貢献することが期待されます。
熊本・球磨川:豊かで災害に強い球磨川流域の再生
令和二年球磨川豪雨で甚大な被害を受けた球磨川流域では、地域団体「チームドラゴン」と「豊かな球磨川をとりもどす会」が連携。
現状把握に奔走するとともに、壊れない道づくりが特徴の自伐型林業に目を向け、関心ある個人、自治体と活動しています。
また、森林の回復は土壌流出の抑制と水害軽減に不可欠なため、住民各個人が参画できる仕組みを作ることで、ダムだけに重点をおくのではない防災・減災対策につながることを目指しています。
仙台・広瀬川:これからも市民の川でありつづけるために
仙台市のシンボルである広瀬川は、都市部にありながらサクラマスが遡上する貴重な河川です。
近年、砂防ダムや気候変動の影響によりサクラマスの遡上数が減少傾向にある中、「NPO法人水・環境ネット東北」をはじめとする市民団体が、魚道の整備や産卵床の造成など、継続的な活動を行っています。
サクラマスを指標とした河川環境の改善を通じて、大都市圏における生物多様性の回復と保全、そして市民にとって身近な「市民の川」であり続けることを目指しています。
ヘルシー・ウォーターズ・イベント
~この夏の一日をぜひ皆さまの川の日に。
パタゴニア・フィルムズが誇るうつくしい映像や、『ミルクの中のイワナ』の坂本麻人監督による新作映画からの短編作品をお楽しみいただきます。
そしてそれぞれの地で川に寄り添う取り組みをするゲストからのお話を伺います。
会場ごとにゲストと上映作品が異なります。
詳細はイベントページをご確認ください。
https://info.patagonia.jp/category-events/healthy-waters/
行動を起こそう:私たちにできること
私たち人間は、野生の川と自由に流れる水の擁護者として、これらの計り知れない資源を保護し保全するという決意をもち、この問題に直接的に関与する必要があります。
そして、私たちにはそれを実現することができる力があります。
道南・朱太川水系
「朱太川 マスの未来地図 ~市民参加型環境モニタリング調査~」に参加し、サクラマスの産卵状況調査などを通じて、砂防堰堤の影響と現在の環境情報を収集する活動。
詳細はこちら:https://info.patagonia.jp/events/1115/
熊本・球磨川
災害に強い森とはどんな森なのかを知り、流域に暮らす住民たちや林業者とみんなで一緒に壊れない道づくりや散策できるコースづくりを行う豊かな森づくりに参加。
詳細はFacebookページをご覧ください:https://www.facebook.com/savekawabe/
仙台・広瀬川
「NPO法人水・環境ネット東北」が主催する魚道整備、一斉清掃、生き物調査、観察会などに参加し、市民の川である広瀬川を知り、体験し、水環境の保全と回復に貢献。
詳細はこちら:https://mizunet.org/