Riaru Ito @ Teahupoo Tahiti French Polynesia 2022
映画”フリーバード”もいよいよ最終章のタヒチ編。
ラストはハワイかタヒチかと迷っていたけど、
ディレクターのパルオ君がやっぱアングル、カラーの良いタヒチでしょうと
言ってくれたのでスッキリタヒチ・チョポをエンディングに持ってきた。
このトリップでは俺がどうしてもスティールに専念したかったので、
ハワイから動画担当としてマヒナパパ・マエダヤスオ君に同行してもらった。
そしてこのタヒチトリップにはリアルの他に、
マツナガダイキ、マツナガケンシン、アズチゲンの4サーファーズが参加した。
ダイキはすでにパイプでドミネイトしクレージーアタッカーとして名を馳せ、
弟のケンシンは確かまだ15歳だったと思うが、
ポテンシャルの高さは兄・ダイキ以上いや日本屈指の素質を持っていると感じていたので、
将来を見据えてタヒチトリップに誘ってみた。
実際その年の冬・2022年12月30日のパイプでウェイブオブザデイをメイクし、
チョポ修行の実りを立派に証明してみせた。
そしてもう一人当初ワキタタイチを誘っていたが、タイチが2022年度のCSにクォリファイしたため
今季はCSにフォーカスしたいというわけで辞退し、タイチのスポットが空いたので、
前年四国河口のレフトでスーパーゴーインオフしたアズチゲンの事を思い出し誘ってみた。
初めは舞台がチョポなので引き気味だったゲンだったが、
最後は”行きたいです”ときっぱり返事が来、こうしてタヒチトリップのメンバーが決まった。
ハワイからタヒチへは週1便しか飛んでいないハワイアンエアーで2022年6月4日(土)に出発。
翌6月5日からラスカルの船に乗って全員初めてのチョポセッションに突入した。
しかし初めの1週間はスモールサーフが続き、スモールチョポやテアバイティでやることが多く、
フラットの日もあり船を出さない時もある始末、、、
自分達が来るまではパンピンしていたらしいが、丁度スエルの谷間に入ってしまったようだ。
しかし帰るまで後1週間しかなくなってきた頃、波予報でその後の1週間がエピック予報となった。
これは滞在を1週間伸ばすしかないと、チケット、宿、ボートの延長を試み、なんとか全てオケ。
すると2週目の6月16日午後からモードが変わりカミングアップしだしてきた〜〜
翌17日もサイズアップしようやくチョポらしくなってきた!!
そして本来なら帰る日だったはずの6月18日がこのトリップで
一番のビゲスト・ナーリエストデイとなった!!
天気は曇天たまに雨、海は重く寄れ、ドセットは肉厚の8〜10ft、、、、
根こそぎ掘れ上がる波はとてもじゃないがパドルで乗れる気がしなかった。
ここまでの平和なチョポとは一転、荒れ狂った自然・海の脅威にボーイズも点点点、、、
1時間ほどボートから見ていたが、ついにダイキとケンシン・マツナガブラが海に飛び込んだ。
やがてリアル、ゲンも続いてパドルアウトしたが、今度はなかなか乗れない。
確かトウインはいず、ローカルやBBでさえ手こずっていたコンディションだった。
そんな中、ダイキが突破口を開き狂気のプルインを見せてくれた。
そして今度はリアルが、、、、しかしピキピキテイクオフ過ぎてプルインのタイミングが合わず、
カバーラップされたもののディープインザピットで巻き上げられてしまい、
これでもかというほどの巻かれ方を強いられ、ボトムにヒット、板もブローキンしてしまい、
這々の態でハーフピースになった板でボートに戻ってきた。
いつものリアルならすぐにチェンジボードしてラインアップに戻るが、
この日は相当応えたのか、もうサーフィンするって感じじゃなかった。
クィバーも残すとこ後一本なので、残りの一週間にセイブしておきたかったようだ。
その後もダイキ、ケンシン、ゲンはハードコンディションの中でもセッションを続け、
昼前にはストーミーコンディションと化してきたので、この日はこの強烈な1Rで終了となった。
本当なら今夜のフライトで帰る予定だったが、まだワンモアウィークあるという救いがあった。
翌日は一旦サイズダウンしていったが、それなりのサイズはキープし続け、
ついにミッドウィーク・6月23日から予報通りのエピックコンディションが始まった。
SSWの6〜8、風は弱く、天気も良く、まじゴージャスコンディションとなっていった。
ここまで培ってきたナレッジを生かし、ここにきてボーイズはゴーインオフしだしてきた〜
そして6月24日・ベストオブザベストのザデイがやってきた。
この日キャプテン・ラスカルは用事があり、
俺達はテレバデビッドの兄・ドレーンの運転する船に乗り、
朝暗いうちからチョポのラインアップに出た。
そこにはまるで絵に描いたようなパーフェクション、非の付け所のないチョポの姿があった。
そして何よりもノーバディアウトゼア、信じられない事に誰もラインアップにいないではないか。
これには本当に驚かされ、今尚思い出すたびに奇跡というしかない出来事だった。
何故なら午前6時過ぎから午前8時過ぎまで誰も現れず、オレ達だけのセッションが展開されたのだ。
人がいないので駆け引きがなく、ボーイズも波のセレクトがしやすかっただろうし、
何よりもあの海にたった4人というだけでアドレナリン大覚醒!!
この朝はリアルをはじめ全員エピックライドに次ぐエピックライドの連続だった。
トウインではなくパドルにジャストのサイズ、
ディープサウス〜サウスウエストウォールからウエストボウルへ繋がる神がかった波質だった。
このマジカル2アワーズがまさにこのタヒチトリップのクライマックスであり、
結果として映画フリーバードの最大最高最強の魅力になったのことは間違いなかった。
とりわけヒュージスピッツと共にカムアウトしてくるリアルは Art of Surfing そのものだった。
翌・6月25日がラストデイとなり、この日も相変わらずゴーインオフ!!
二週間トリップを三週間に伸ばし、最後の3日間で全てが変わり、全てが報われた旅となった。
その後も何度となくタヒチ詣でを続けているが、
あの2022年6月のセッションは特別なものだったと断言できる出来事だった。
”フリーバード”はサザンロック・レイナードスキナードの名曲からの由来だが、
リアルと言う雛鳥(ひなどり)がまさに世界へと自由に飛び立って行く、
そんな彼の成長過程の中で出来上がった作品だと自分は思っている。



Riaru Ito @ Teahupoo Tahiti French Polynesia 2022
映画”FREE BIRD”制作秘話、ご愛読ありがとうございました〜〜
まだ全国各地でのロードショーは続いていますので、
是非ビッグスクリーンでご覧ください〜〜

