☆加藤のウラナミ『青森ねぶた祭と秋田竿灯祭に感動しました~Vol.2』

☆加藤

☆加藤
会社代表であり、波乗りと海が大好きなサーファーです。子どもたちに安全安心な海を残すことと、島国などへ高精細な気象情報を提供することを残る人生のライフワークにしました。サーフトリップネタが多くなりますがお付き合いいただければ幸いです。よろしくお願いします。

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日本赤十字社協賛の竿灯の差し手は日赤の職員かも?

青森ねぶた祭 と 秋田竿燈祭 が、東北を代表する祭となった今では、青森ねぶた祭は300万人、秋田竿燈祭は110万人以上の観光客が繰り出すため(コロナ禍は自粛)、宿の予約を取るのも大変だし、土地勘もないので、我々は鑑賞ツアーに申し込むことにしました。

添乗員さんが旗を持ったあとをぞろぞろと団体でついていく“あのツアー行動”に、いざ参加するとなると正直「かっこ悪いなぁ~」と落ち込みましたが……(笑)
それでも東北新幹線を利用し、盛岡駅で下車してからは定員の半分にも満たないゆったりとした観光バスで移動し、祭の前には十和田湖や奥入瀬(おいらせ)渓流などの見物もできて、ごった返す祭会場でも迷子になることもなく案内されて、朝夕の食事もすべて手配された至れり尽くせりの旅となったのでツアーに申し込んで本当に良かったと思いました。
ちなみに、女性の添乗員さんはかつては湘南がホームのボディーボーダーで、楽しかった当時の波乗り話で盛り上がりましたが、かなり昔のお話でした…(笑)

ねぶたの大きさは、最大で幅9m・奥行7m・高さ5mにもなり、重さは約4トンにも及ぶそうです。その製作期間は約3か月間かかり、製作費用は1基2000万円にもなるそうです。
制作費用が高額になるため、地元を含む大手企業の協賛を得て作られていたのにも納得できました。そうして作られたねぶたの数は、大きなねぶたが15基、こどもねぶたも15基あったそうです。

かつてはねぶたの中の光はロウソクで灯していたそうですが、今回ねぶたが回転した時に裏側から見たら発電機で点灯しているのを確認することができました。ねぶたは竹や針金に和紙を貼り付けているだけなので、ろうそくの火が燃え移ってしまったら、あっという間に燃えてしまうので、発電機に変えて焼失することが無くなったのはかなり重要な変革だったと思います。

“跳人(はねと)”と呼ばれる踊り手と観客とが「ラッセー、ラッセー、ラッセイラー」の掛け声のもと街の中心部を熱く練り歩くため、大勢のギャラリーのボルテージはさらにあがります。


ねぶた師の熱き情熱が注ぎ込まれた力作と、跳人(はねと)の熱き思いが祭を盛り上げる

ねぶた師の熱き情熱が注ぎ込まれた力作と、跳人(はねと)の熱き思いが祭を盛り上げる


ねぶた自体の芸術性と祭による興奮がものすごい青森ねぶた祭に対して、秋田竿燈祭は幻想的な美しさと共に、竿灯をかつぐ差し手(担ぐ人)の技術とパワーが観光客の感動を呼びます。


技と力を備えた見事な差し手の妙技

技と力を備えた見事な差し手の妙技



肩の上で竿灯をかつぐ差し手

肩の上で竿灯をかつぐ差し手



腰の上で竿灯を担ぐ差し手

腰の上で竿灯を担ぐ差し手



額(ひたい)の上で竿灯50kgを担ぐ差し手の妙技、差し手の首は大丈夫か???

額(ひたい)の上で竿灯50kgを担ぐ差し手の妙技、差し手の首は大丈夫か???


参加した竿灯の数は、一番大きくて大若と呼ばれるものが46基、順に中若も46基、小若24基、幼若も24基、合計140基が参加したようです。
ちなみに、竿灯の製作費用はねぶたに比べるとお安く、大体30万円くらいだそうです。
ただし、竿灯につるす提灯(ちょうちん)の中の光は今でもロウソクを使っているので、46個付いている提灯のいくつかが途中で風などで消えてしまい、竿灯を倒して差し手がライターで点火する光景も見受けられました。

秋田竿燈祭では、祭が終わってから差し手と観光客とが15分間交流することができる時間が設けられていました。
そこで、差し手の人に地元の人かどうかをお聞きしたら、「地元ですが、今は東京で仕事をしていて、毎年竿燈祭の時期だけは必ず故郷に戻って差し手をやっています」とおっしゃっていました。
秋田市から都会に出た市民の多くが、この秋田竿燈祭りの時期だけは帰省して何らか祭りに携わって支えるとともに、幼馴染や家族との交流についてもとても楽しみにしているようでした。よって会場近くの居酒屋さんはそうしたグループや家族でとても盛り上がっていました。
竿灯の差し手の足の動きがサーファーがサーフボードの上でバランスを取るのに似ていると勝手に思い、無謀にもお願いして私も竿灯を持ち上げさせてもらいました。


竿灯の担ぎ方の説明を聞く筆者

竿灯の担ぎ方の説明を聞く筆者


最大の高さは12m、重さはなんと50kgもあり(中にはもっと重い竿灯もあるそう)、竿灯の中心を支える太い竹の下部を両手で持って支えたときのズシリとした重さとバランスの難しさはとうてい言葉では伝えられないほどの厳しいものでした。




また、たとえバランスが取れたとしても、少しの横風でも竿灯が流されるので、その都度修正してバランスを取らねばなりません。観覧する側からは差し手の動きはやや簡単そうに見えますが、実際は相当難しい高度な技と尋常でないパワーが求められるのです。子どもの頃から子ども用の竿灯を担ぎ続けて、成人になって初めて一人前の差し手になるくらいで、誰でも出来るというわけではないようです。
なお、急に吹いてきた横風に煽られたりして万一竿灯がバランスを崩しても、道路の端に設けられた有料観覧席(前売り3500~4500円)には竿灯が倒れないよう、その上部にはワイヤーが張り巡らされていました。大人の竿灯が倒れたのは見ませんでしたが、小学校低学年用の小さな竿灯が倒れるのは間近で見ましたが、「キャ~」という声とともに、「バシャ~ン」の音も聞こえて、ちょっとした迫力がありました。


観覧席に竿灯が倒れるのをふせぐワイヤーが張り巡らされているが、それだけ危険ということ!!

観覧席に竿灯が倒れるのをふせぐワイヤーが張り巡らされているが、それだけ危険ということ!!


差し手の方とお別れ前に記念撮影をさせて頂く際に、差し手の方の背中に手を回したところ、背中全体が汗でびっしょりと濡れていて、その大変さと運動量を改めて痛感しました。
もしも皆さまが竿灯まつりに行く機会があったら、ぜひ竿灯を担がせてもらってください。差し手の方の“偉大さ”を実感するはずです。


背中まで汗がびっしょりの差し手の方々との記念撮影、真ん中は迷惑を掛けたワイフです

背中まで汗がびっしょりの差し手の方々との記念撮影、真ん中は迷惑を掛けたワイフです


朝起きたら宿泊したホテルの向かい側の広場で、ちょうど差し手の技術と竿灯囃子(かんとうばやし)の音やリズムを評価する「竿燈妙技大会」が行われていました。

直径6mの小さな円の内側の中で(円を出ると減点)、竿灯を肩や額(ひたい)、そして腰で支える妙技を演じ、竿灯囃子による音とリズムとの整合性を競うようですが、風に流されて大きく円を逸脱してしまう組や、中には竿灯を倒してしまう組もいて、夜の部とは趣きが異なりますが、大会としての妙技会も見応え十分でした。ただし、朝からの酷暑は半端なかったですが…


竿燈妙技大会の様子

竿燈妙技大会の様子


私の“大ポカ”が無ければ実現しなかった「青森ねぶた祭」と「秋田竿燈祭」見物でしたが、また機会があればぜひ行きたいと思います。
また、東北には三大祭りのもう一つの「仙台七夕祭り」に加えて、「盛岡さんさ踊り」「山形花笠まつり」「福島わらじまつり」があり、さらには花火師が翌年の新商品の花火を披露競演する、全国花火競技大会「大曲の花火」がありますので、予め宿だけは予約しておいて、サーフトリップしながらそれらを見物するのはとても楽しい経験になるはずです。

夏でもきれいな海水がヒンヤリして海に入るのがとても気持ちよく、海山の美味しい料理とお酒、そして温泉にも恵まれ、エリアによってはサーファーの数がかなり少なく、また優しい地元サーファーが少なくないのが東北サーフトリップの魅力だと思います。
今後夏休み期間中の東北サーフトリップには、ぜひ“祭”を加えてみてください。(了)

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