
セルフレスキュー「自分の身を自分で守るために」
海に入る時には、まず「自分の身を自分で守る」ことが必要です。
まずは海で泳ぐ時に注意しなければいけないことから考えましょう。もちろん、サーフィンなどのマリンスポーツをする時にも必要なことです。
- 海に入る前に、波のコンディションをよく観察しましょう。
- 波の崩れ方やパワーなど、どんな波なのか、特に自分のスキルに見合った波なのかを判断しましょう。
- 風向きや強さ、潮の(カレント)などもよく観察しましょう。
- 風は今後どうなるのか、よく把握しておきましょう。また、カレントには特に注意が必要です。
- 危険な場所、物はどこにあるか、確実に把握しましょう。
- 波消ブロックや岩場、船舶やもちろん他のサーファーにも注意を払う必要があります。
- 食後や睡眠不足のときは、しっかり休養をとってから海に入りましょう。
- 特に睡眠不足のときは、足がつったりなど思わぬ事態から事故につながります。
- ビールやお酒を飲んで海に入るのは自殺行為です。絶対にやめましょう。
- もっとも事故につながる要因です。アルコールを飲んだ時は、車の運転と同じ「飲んだら乗るな!」です。
- 海の状況は時間ごとに変化します。常に感じながら波乗りをしましょう。
- 潮の干満や、うねりの高さ、風の強さによってコンディションが大きく変わります。
- 海の中では、常に自分のポジションを確認しましょう。
- いつのまにか沖に流されていたり、ライディングの邪魔をして接触トラブルを起こさないか、自分のポジションに注意しましょう。
- 炎天下の海岸では、水分をしっかりとりましょう。
- 水中でも汗はかきます。脱水症はけいれんなどを起こし、思わぬ事故につながります。
- 日焼けのしすぎには十分注意しましょう。
- 日焼けはひどいとやけどになります。また、思っている以上に疲労につながります。日焼け対策はこまめに。
- 潮流や風に流されて沖で戻れなくなったり足がつった時には、すぐに助けを呼びましょう。
- 「118」番へ電話をすると、海上保安庁につながります。「海の『もしも』は118番」です。
海のルール「安全に楽しむために」
海で楽しむためには、海の安全ルールを守りましょう。
サーフィンのルール・マナー以外にも、船舶の航路だったり、漁船の邪魔にならないように注意も必要です。ときには立ち入り禁止の場所もあります。また、釣りなどほかのマリンレジャーに対しても注意が必要です。
- 海水浴場でのルール
- 一般的に、海水浴場ではサーフィンは禁止になっています。海水浴シーズンには、場所や時間帯を事前に確認しましょう。
- 海水浴場での標識を知っておきましょう。
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遊泳エリア:赤黄2色
遊泳可:青
遊泳注意:黄
遊泳禁止:赤
- ※遊泳禁止でなくてもサーフィンができないところもあります。地元の人や、ライフセーバーに確認しましょう。
レスキュー「いざという時のために」
- 泳がないで助ける方法
- 水辺の事故で多いのは、助けに向かった人もおぼれてしまう二重事故です。まずは水の中に入らないでもできることを考えましょう。
- ◆周囲に何か浮くものか、つかまれる物があるか探してみる。(サーフボード、うきわ、ペットボトル、ロープ、釣りざおなど)
- ◆水の中に入らずに、何かつかまる物を、手渡すか投げてみる。
- サーフボードを使って助ける方法
- ◆ボディーボード、ショートボード
要救助者をボードに乗せしっかりとつかまらせ、自分は泳いで引っ張る。できれば一緒にパドルやバタ足をさせる。 - ◆ロングボード
要救助者を前に乗せ、自分は重なるようにして後に乗る。 - 注意事項
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○まずは声をかけて落ちつかせる。
○確保する時は、必ず要救助者と自分の間にボードを置き、先にボードにつかまらせてから確保する。
○乗る時は、後から抱きかかえるようにする。場合によっては板を横に向けて乗る。
○ロングボードなどで乗せる時は、板をひっくり返すと乗せやすい。
心肺蘇生法「命を救うために」
- 必ず知っておきたい「心肺蘇生(そせい)法」
- 一次救命処置の重要性
- 心臓停止後約3分
呼吸停止後約10分
多量出血30分 - どの場合でも死亡率50%
- 救命処置は時間との争いです。心臓が停止して10分もすれば、蘇生の可能性は限りなくゼロに近くなります。日本の救急隊は平均で5~6分で現場に到着することができますが、救急隊を待ちわびている間に、またたく間に蘇生の可能性は無くなっていくのです。近くにいるあなたが何をするかが、他の何に増しても重要なのです。
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①人が倒れる、溺れる
↓約数分間
②周りの人が気付く
↓約数分間
③救急車の手配をする
↓約6分間
④救急車が到着する
↓約数分間
⑤病院へ搬送する
少なくとも約6分以上
- 心肺蘇生法
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①意識を確認する
②119番通報する
③気道を確保する
④呼吸を確認する
⑤2回息を吹き込む
⑥循環のサインを確認する
⑦心臓マッサージを行う
- 溺れたときの特性
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一般に水の温度は体温よりも低く、溺水患者(溺れた人)は30℃以下の低体温になっていることが多いと言えます。脳の酸素需要率は1℃下がるごとに5.5%低下すると言われており、仮に心停止時間が長くても脳代謝が低下していれば、蘇生する可能性は高いといわれています。約13度の水中に17分間水没していながら回復した事例もあり、心肺蘇生法は、根気よく行なう事が必要で、決してあきらめてはいけません。
おぼれている人を助けたあと、もし意識がなかったら、あなたは何ができますか。家族や友人が倒れたときあなたには何ができますか。大切な人の命を守るのはあなたです。
リップカレントを知ろう「さらに波を楽しむために」
リップカレントを知ることは、サーフィンをする上でとても重要です。その特性を知らない人にとっては、事故につながる危険なものだが、知っている人にとっては、とても便利なものとなります。サーフィンだけに限らず、海を利用する人はみんな知っておきたいことです。
- リップカレントって? (ビーチタイプの海岸)
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ビーチタイプの海岸では、波や海底の水の動きによってサンドバンクが形成されます。サンドバンクは、波打ち際でダムのような役割を果たし、戻ってくる水の動きを妨げます。すると水はサンドバンクに沿って流れ戻る場所を探します。これがサイドカレントです。サイドカレントとなった水は次第に増加し、サンドバンクの弱いところを決壊し沖に向かって流れ出します。これがリップカレントです。
- リップカレントの分類
- 永久型:何か月も何年も同じ場所に存在する。岩、サンゴ礁、離岸堤、桟橋などの付近。
固定型:数時間または数か月同じ場所に存在する。
一時型:一時的に発生して短時間で消滅する。
移動型:風や波などの流れの影響を受けて移動する。 - リップカレントの危険
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「パニックを起こすな!」
流されてしまった時、慌ててしまい体力を使い果たし、救助されることが多いようです。本当に怖いのは、流されることよりも、パニックになってしまうことなのです。
流れにはまっていることに気がついたら、まずは落ち着くことが大切です。流れは速いもので秒速2メートル(水泳のトップ選手の泳ぐ早さと同じぐらい)ほどになりますが、ある程度沖まで流されれば流れは弱まります。落ち着いて次の行動を考えましょう。
- リップカレントの活用
- パドルアウトするときには、この流れに乗ったほうが楽に沖に出られます。しかも、流れができるところは、波も崩れにくくなっているのでドルフィンスルーも楽になります。どこにカレントができているか。それを見極める力が上級者への道です。
- リップカレントの見分け方
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◇海底の砂が巻き上げられ、周囲の色と異なり濁って見えるところ。
◇波の白い泡やゴミが集まって沖へ向かって流れているところ。
◇波の崩れる位置が周囲と異なり、波がなかなか崩れにくいところ。
◇岩場や突堤のある付近。
- リップカレントの実際例
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離岸堤の場合
(例:千葉・夷隅、徳島・宍喰)
潜堤の場合
(例:鳥取・浦富、宮崎・こどもの国)
突堤の場合
(例:千葉・東浪見、新島・B堤)
ヘッドランドの場合
(例:茅ヶ崎・Tバー)
湾状のビーチの場合
(例:新島・淡井浦)
湾状のリーフの場合
ボディーサーフィン「自力で岸まで戻るために」
万が一リーシュコード(ボードと体を結ぶゴム製のコード)が切れ板を流してしまった時や、板が折れてしまったときに、あなたは岸まで泳いで戻る自身がありますか。サーフィンと同じようにボディーサーフィンができれば、楽に岸まで戻ることができます。
- ボディーサーフィン
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①まずはスープで練習
基本姿勢は、頭の上で手を組んでまっすぐ伸ばしてバタ足をするだけ。水泳のスタートの姿勢です。その時、顔は息の続く限り挙げないで水面につけたまま。 -
②波のフェイスをすべる
波が着たらバタ足をして足と腰の位置を高くする。同時に手はクロールで思いっきりかいてスピードをつける。滑り始めたら顔をあげて前を見る。 -
③さらに大きな波に乗る
波のつかみ方は同じ。ただし、ほれた波では最初から顔を上げておく。滑り始めたら波のフェイスを手で押さえる。 -
④サーフボードのように横にすべる
横にすべるには、しっかりと片手を伸ばし、指先から胴体、足先までをサーフボードのレールのようにしっかりと食い込ませる。