
最初に、これからサーフィンを始めたいと思っている方、またはサーフィンを始めたばかりの初心者の方、「いつも楽しみながらサーフィンをする」ということを常に頭に入れておきましょう。
「子供は上達が早い」という言葉をよく耳にしますが、子供には余計な雑念などなく、ただ純粋に楽しみ・失敗しても決して諦めずに何度でもトライし続けるからこそメキメキと上達していくのです。
冒頭でも触れたように、いつでも純粋にサーフィンを楽しみ、失敗しても諦めずに努力して何度でもトライし続けることこそが、サーフィンの上達には一番の近道であり、サーフィンの奥深い楽しさを知る近道でもあるのです。
パドリング
パドリングとは、岸から沖へと向かうためや、沖からやってくるうねりに合わせて乗るために、サーフボードに腹ばいになってクロールのように両手をかきながら前へと進む動作であり、サーフィンの基本中の基本テクニックです。
パドリングは見た目には簡単に見えますが、ブレイクの速い波・遅い波・掘れ上がるパワフルなピークなどに対応しなければならず、パドリング技量の奥は深く・難しいものなのです。
- ①まずは砂の上でバランス感覚を。
- 海の中に入ってサーフボードの上に腹ばいになってみると、見た目よりもずっと不安定で難しいことが実感できるでしょう。まずは砂の上で小さな丘を造り、その上にサーフボードをおいて腹ばいになり、パドリングのバランス感覚を体に覚えさせましょう。
- ②ボードと体のバランス。
- パドリングにおいての大切な基本は、おヘソを中心にしてバランスをとることです。そして、不安定な海の上でボードの上に腹ばいになったとき、ノーズが海面から軽く浮くような感じがベスト。このとき、ノーズが海の中に沈んでしまうようならばボードの前に乗り過ぎていることになり、両手を前に伸ばしたときにノーズを手で触れられないようならばボードの後ろに乗り過ぎていることになります。
- ③基本動作をしっかりとマスターしよう。
- 次に、クロールのように両手で水をかくパドリングの動作に入りましょう。胸をしっかりと反ってアゴは引き、足はボードの上で閉じ、両手で水をかいていくクロールのような動作は手首を最後までしっかりと返すことが大切です。
★自宅での練習方法
座布団・クッションなどを5~6枚敷いた上にサーフボードを置き、不安定な海の中をイメージしてパドリングの練習をします。
このとき、天日干ししたばかりのフカフカの座布団ならば、それだけバランスをとるのが難しいので効果的です。 - ①自分と波とのタイミングを体で覚える。
- まず、沖へと向かってパドリング中のとき、沖から押し寄せてくる波がどのくらいの速度・時間で自分に到達するのか知ることが大切であり、そのためには何度もトライしてタイミングを体で覚えましょう。
- ②全体重をしっかりと乗せた腕立て伏せ。
- 自分と波とのタイミングを計り、沖へと向かう自分のところへ波が到達する直前に、両手でボードのレールをつかんだ腕立て伏せの要領から、ノーズを海底へ向けて深く沈めていきます。このとき、テイクオフのときに行う腕立て伏せは、ボードの上に立つための素早い腕立て伏せであり、ドルフィンスルーのときの腕立て伏せは、ボードを海底へ向けて沈めるための全体重をしっかりと乗せた腕立て伏せだと言うことを、頭の中でしっかりと認識しておきましょう。
- ③テールを思い切りけり込んだ後はバタ足を。
- 全体重をしっかりと乗せた腕立て伏せの動作からノーズを沈みこませたら、テールを足のつま先でしっかりと蹴り込み、ボード・体全体を海底へ向けて押し込みます。
- ①テイクオフのための3つの基本動作を素早く。
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パドリングで波を追い、うねりに押されてボードが走り出したと感じたならば、アゴでボードを押すような感覚で胸をボードにしっかりと近づけ、(1)胸の位置のレールをしっかりと掴み、(2)腕立て伏せのように肘を伸ばし、(3)一気にボードの上へ立ち上がります。
その後は、体の正面を進行方向に向けて両手を大きく開き、前足にはしっかりと体重を乗せてバランスをとるように心がけましょう。
- ②フロントサイドでのテイクオフ。
- 横目から波を見るのではなく、正面から波を見ることが大切であり、テイクオフした後は前足のつま先側に意識をしつつ、ボードの真下にしっかりと体重を乗せるように心がけましょう。
- ③バックサイドでのテイクオフ。
- フロントサイドと同様に、正面から波を見ることが大切であり、波のピークからテイクオフした後は、前足のかかと側に意識をしつつ、ボードの真下にしっかりと体重を乗せるように心がけましょう。
バックサイドでのテイクオフは、基本的にフロントサイドと反対のことを意識するのですが、背中を向けて滑っていくためにフロントサイドよりも難しくなります。
★自宅での練習方法
鏡を正面に見て腹ばいになり、波の上に浮いていることをイメージし、何度でも練習して自分のテイクオフの感覚をしっかりと体に叩き込みましょう。
ドルフィンスルー
押し寄せる波をかわしつつ、岸から波のピークがブレイクする沖へと向かう一連の動作のことを、「ゲッティングアウト」と言います。
ゲッティングアウトには、サーフィンの基本であるパドリングはもちろんのこと、押し寄せる波をかわすための「ドルフィンスルー」・「プッシングスルー」・「ローリングスルー」といったテクニックがあります。
その中で、ブレイク寸前の波のパワーゾーンや、押し寄せる大量のスープなどをかわすために、ボード・体を海の中に沈めてやりすごす「ドルフィンスルー」をマスターすることができれば、その他のゲッティングアウトのテクニックは同時にマスターすることができるでしょう。
押し寄せる波に負けることなく自分一人でゲッティングアウトして沖に向かい、ピークから波に乗ってライディングするためには、このドルフィンスルーをしっかりとマスターしなければなりません。
その後、海中にて先に沈めたノーズの進行方向を海面へと向けると、円動作する波の力・サーフボードの浮力・しっかりとしたバタ足により、一気に波の裏側へと抜けて海面へと浮上していきます。
★自宅での練習方法
常に波の上にいることをイメージし、バランスボード(バランスボードがなければ、ゴルフボールなどの上に市販の板などを乗せて)の上で腕立て伏せの練習をすると効果的です。
その際、筋力トレーニングのための腕立て伏せトレーニングも忘れずに行いましょう。
テイクオフ
パドリングの基本を覚え、自分の力だけでうねりから波の斜面を滑られるようになれれば、いよいよボードの上にテイクオフする最高の瞬間です!
テイクオフでもっとも大切なことは、パドリングの姿勢から素早く、かつタイミングよくボードの上に立てるかどうかです。
ボードの上に素早く立つためには、早いパドル力も大切な要因の一つとなりますので、テイクオフの練習と同時にパドリングの練習も忘れずに続けましょう。
サーフィンを始めてから、ボードの上に立って波に乗ることができずにサーフィンを諦めてしまう方が一番多く見られます。それゆえに、テイクオフはサーフィンを始めるにあたっての「第一の難関」と言われています。
しかし、この第一の難関をクリアすれば、そこから「あらたなサーフィンの素晴らしい世界」を知ることになるでしょう。