
水着の中がかゆい「チンクイ!?」
海水浴皮膚炎(微小浮遊生物(プランクトン)による皮膚の炎症)
海水浴やダイビング、サーフィンなどの途中に体の一部がチクチクしたり、海からあがったあとに、ウェットスーツや水着の中がかゆくなったり、小さな赤いぶつぶつなどかゆみのある発疹ができた経験をした方は少なくないのでは……。
クラゲのように「チクッ」と刺されたという自覚がないことが多く、いつのまにか違和感がしたりかゆみが出てくるという状況です。
「チンクイにやられた!」と言う声を耳にすることがありますが、これは「チンクイ」という生物がいるわけではありません。ほとんどの場合は海中に浮遊する微小なプランクトンの仕業なのです。
症状
・身体の一部がチクチクする(特にウェットスーツや水着の中など)
・赤いブツブツ(発疹)ができる
・かゆくてかゆくてたまらない
・かぶれてしまう(場合によっては腫れや痛みがある)
原因
チクチクやかゆみ、発疹の原因。これらは、海水の中にいる微小な浮遊生物(プランクトン)によることが多いのです。
ほとんどの場合は、エビ、カニ、ヤドカリなど甲殻類の幼生だと思われます。
これらの幼生は、2~3mm程度の大きさで半透明なため、肉眼で見ることができないことが多いのです。毒性はないのですが、トゲのある形状をしているためにウェットスーツや水着の中に入るとチクチクするわけです。
甲殻類の幼生の成長過程は、卵から孵(かえ)った後
プレゾエア → ゾエア → メガロパ → 稚エビや稚カニという順番で変態をしながら成長します。この中のゾエア期にもっともトゲのある形状をしていることから、「甲殻類のゾエア」がチクチクの原因であり、「チンクイ!?」の正式名ということになります。
手当
・チクチクと感じたら海からあがり、ウェットスーツや水着を脱ぐ
・すぐに流水で洗うかシャワーを浴びる
(肌の露出している部分よりも、水着の中などを念入りに洗い流す)
・赤い発疹(はっしん)があれば、患部を氷水の入った氷嚢(ひょうのう)などで冷やす
・かゆみが強く、発疹が多い場合や範囲が広い場合は医療機関(皮膚科)を受診する。
注意する点
・肌に密着した水着は、できるだけ早く脱ぐ
・むやみに擦らない
・絶対にかかない
肌に密着した水着をそのまま着用していると摩擦で発疹部分が刺激されます。
また、チクチクとした違和感や痒みがあることで、ついつい指先で触ったり、爪で引っかいたりすることがありますが、こすったり、かいたりすることで発疹(はっしん)をかきこわし、「とびひ」(かぶれ)状態になってしまうことが多いのです。
小さな子供の場合は特に注意してください。
予防
・有効な予防方法がないため、チクチクと違和感があったら早めに海からあがることが大切です。