Vol.22 クラゲの種類

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クラゲの種類について

クラゲと名のつくものは、刺胞という組織に毒を持つ「刺胞動物」(しほうどうぶつ)と刺胞を持たない「有櫛動物」(ゆうしつどうぶつ)とに分類されます。

  • 刺胞動物
  • ミズクラゲ、カツオノエボシ、エチゼンクラゲなど

    ・ヒドロ虫綱(ひどろむしこう)

    カツオノエボシ、ギンカクラゲ、カギノテクラゲ(キタカギノテクラゲと同種)(その他クラゲではないが、ガヤ、ヒドラ、アナサンゴモドキなども含まれる)

     

    ・十文字綱(じゅうもんじこう)

    ジュウモンジクラゲ

     

    ・箱虫綱(はこむしこう)

    アンドンクラゲ、ハブクラゲ、キロネックス、イルカンジなど 立方クラゲ(ボックスジェリーフィッシュ)類

     

    ・鉢虫綱(はちむしこう)

    ミズクラゲ、アカクラゲ、タコクラゲ、ビゼンクラゲ、エチゼンクラゲ、サカサクラゲ などのお椀型のくらげ

    ※刺胞動物には、その他クラゲではない、イソギンチャクやサンゴを含む花虫綱(かちゅうこう)がある。

     

  • 有櫛動物
  • クシクラゲ類

    ウリクラゲ、カブトクラゲ、フウセンクラゲなど

     

    毒性の強い代表的なクラゲ

  • カツオノエボシ
  • コバルト色をしており、気泡体を持つことで水面に浮きながら風や潮流に流されて移動する外洋性のクラゲです。大きいものだと長さ10cmほどの気泡体の下に無数の伸び縮みをする触手を水面下に垂らすように持っており、その内の数本は10mにも及ぶことがあります。

     

    長い触手を持つことから皮膚に触れると電気が走ったように痛みを感じるため、「電気クラゲ」と呼ばれているクラゲです。
    本州以南の沿岸部で見られ、暖流にのって流れてくるものと考えられています。

     

  • アカクラゲ
  • 大きいものでは約10~15cmほどの直径の傘の部分に16本の褐色の放射模様があり、その下に40本ほどの触手を持ち、そのうち4本ほどは3~5mほどの長さがあります。傘の部分を開いたり閉じたりしながら水中をゆったりと移動します。日本全国で見られます。

     

  • アンドンクラゲ
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    国内では立方クラゲの代表的な種類です。無色透明で3~5cmほどの立方形の傘とその4隅から1本づつ5~10cmほどの触手が伸びています。立方形の傘を開いたり閉じたりしながら水中を細やかに移動します。小さくて透明のため気づきにくいのが特徴です。

     

    日本全国で見られます。

     

  • カギノテクラゲ
  • 透明で直径1~2cmの浅いお椀状の傘を持ち中央に十字型の生殖腺があり、短い触手がカギ状に折れ曲がっていて海藻などにつかまることができます。刺されると咳(せき)や鼻水、腰痛、筋肉痛、吐き気や頭痛などの全身症状があり、小型で目立たないことからいつの間にか刺されているというケースが多いのも特徴です。日本全国で見られ、北陸・東北~北海道に多く見られるキタカギノテクラゲと同種であることがわかってきました。

     

  • ハブクラゲ
  • 奄美諸島(鹿児島県)~八重山諸島(沖縄県)に分布する立方クラゲの種類のひとつです。10~15cmほどの立方形の傘があり、4隅から数本ずつの触手を持っています。同じ立方クラゲのアンドンクラゲに比べると触手の数が多いのが特徴で、傘を開いたり閉じたりしながら早いスピードで移動します。

     

    刺されるとミミズ腫れになり後から患部に水泡ができることがあります。名前のとおり猛毒のクラゲとして有名で、生命に関わるケースもあり注意が必要です。刺された直後に患部周辺に「酢」をかけるとそれ以上刺胞から刺糸が発射されるのを防ぐ効果があることがわかっています。

     

  • その他
  • 毒性の強いとされるクラゲは他にも、ハナガサクラゲ、ヒクラゲ、アマクサクラゲ、ビゼンクラゲ、エチゼンクラゲなどといった種類があります。

     

    刺胞動物について

    刺胞動物の中には、クラゲのほかにもイソギンチャクやサンゴ、ガヤなどがあります。イソギンチャク、サンゴ、ガヤはクラゲと同じ分類に属する海洋生物なのです。

     

    有櫛(ゆうしつ)動物について

    ウリクラゲは刺胞がなく毒性がないものと思われていますが、ウリクラゲに触れて軽症ではあるものの皮膚に炎症を起こした例があることから、ウリクラゲなど一部の有櫛動物にも何らかの毒性があるものと考えてよいと思います。