Vol.5 低体温症

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身体が冷えきってしまった!

冬の寒い季節、屋外で手足がかじかんでしまうようなことは誰もが経験しているものです。マリンスポーツなどにより長時間にわたって水辺や水の中にいることで、気がついたら思うように身体を動かせなくなってしまうことがあります。

「低体温症(ていたいおんしょう)」とは……

気温の著しく低い屋外や、冷たい水の中に長い時間いることで、徐々に体温が奪われ、全身の運動機能や、身体そのものを正常に維持する機能に障害が生じることを言います。

ヒトの身体は、体温を常に一定(約37℃)に保ちどのような環境下でも普段通りの身体機能を維持できるようになっています。

寒いと身体がぶるぶる震えるのはそのための生理現象のひとつです。

しかし、低温の環境下の中で体温が35℃以下になってしまうと、生命を維持する上でのさまざまな機能低下が起こってしまい、ひどい場合には死に至ることもあります。

≪症状≫

  • ヒトの中心温度(直腸温)
  • 35~33℃ 強い震えがおさまらない

    33~30℃ 震えがなくなり、心拍数の低下がみられる

    30~25℃ 錯乱や幻覚がおこり、心拍数が著しく低下する

    25~20℃ 意識を失い、筋肉の硬直が起こる

    20℃以下 心肺停止となりほぼ死亡状態

    ≪手当≫

  • ~意識がはっきりしている場合~
  • 風や雨の影響のない場所で安静にする。

    衣服が濡れていれば乾いた衣類に着替え、毛布等で包み保温する。

    脇の下やそけい部など、太い血管があるところを湯たんぽなどで暖める。

    本人がほしがれば、甘くあたたかい飲み物などをゆっくり与える。

  • ~意識がない場合~
  • 呼吸の確認をしながら、保温をしてただちに119番通報する。

    ≪注意する点≫

    むやみに動かさない。

    コーヒー/お茶など(利尿作用のある飲み物)は飲ませない。

    アルコール飲料を飲ませない(血管を広げて熱放射を増やさない)。

    タバコを吸わせない(末梢血管を縮小させない)。

    常に観察をして意識の確認をする。

    必ず医療機関の診療を受ける。

    ≪予防≫

    予防が大切!

    寒い日の屋外では防寒具を使用する。

    濡れたり、汗をかいたら、すぐに乾いた衣服に着替える。

    気温の低いときに、長時間屋外にいない。

    水温の低いところで、長時間水辺にいたり、水の中に浸かっていない。