服部予報士のウラナミ『『警報級の可能性』をご存知ですか?』

服部予報士

服部予報士
服部予報士 サーフレジェンド所属気象予報士、防災士。 小学校の理科の授業で天気に興味を持ち、大学は海洋気象を専攻。 TV・ラジオでの気象解説や、古民家イタリアレストランの店長などの経験を持つ。 「天気と海、旬の食材と話題を通して季節の移ろいを感じられる」ことを ライフワークとして、メッセージを伝えてゆきたいと思います。

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西から順番に梅雨入りし、各地雨の季節となってきました。
夏の渇水を考えると「恵みの雨」ということになるのですが、ときに、強い雨が長く続き大雨になると災害をもたらすこともあり、雨の降り方に注意しておく必要があります。

この万が一に備えるために、気象庁では「注意報」や「警報」など様々な防災情報を発表していますが、昨年5月からは、雨などの危険度が高くなると予想される時間帯に対し、前もって「警報を出す可能性がありそう」とか「注意報が警報になりそう」といった『警報級の可能性』というのを発表しているのをご存知でしょうか?

その前に、改めて警報と注意報のおさらいをしましょう。

「警報」とは、重大な災害が起こるおそれのあるときに警戒を呼びかけて行う予報です。また、「注意報」は、災害が起こるおそれのあるときに注意を呼びかけて行う予報です。気象庁では、対象となる現象や災害の内容によって以下のように6種類の特別警報、7種類の警報、16種類の注意報を発表しています。
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そして「警報級の可能性」は、具体的には、警報級、注意報級の現象が予想される時間帯をそれぞれ赤、黄色で表示するなど、危険度とその切迫度が一目で分かるよう色分け表示されたものです。また、雨量、風速、潮位などの予想値も時間帯ごとに明示されます。

さらに、警報に切り替える可能性が高い注意報についても、通常の注意報と視覚的に区別できる表示にし、気象警報・注意報で発表する危険度や切迫度が視覚的に分かるようになり、自分が住む地域に迫る危険の詳細を素早く把握できるようになりました。
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発表中の警報・注意報等の種別」に示す気象警報・注意報の種類は、注意報を発表中であれば黄色、警報を発表中であれば赤色で塗られ、警報に切り替える可能性が高い注意報を発表中であれば黄色の背景に赤い斜線を付して表示されます。なお、灰色の斜線を付した時間帯は、予測の確度が十分ではないため危険度を表示していません。

ところで、警報は、重大な災害が発生するような警報級の現象が概ね3~6時間先に予想されるときに発表することとされています。また、警報級の現象が概ね6時間以上先に予想されているときには、警報の発表に先立って、警報に切り替える可能性が高い注意報を発表することとされています。

例えば、本州付近に前線が停滞し、さらに南海上に台風が存在するような気圧配置においては、大きな災害が発生した過去があります。普段見慣れた天気予報のほか、今回紹介した「警報級の可能性」も活かして、早め早めの防災行動につなげていただけたらと思います。

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