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小川予報士のウラナミ『ナイトセーリング』

カテゴリ:小川予報士  記事:小川予報士

 いよいよ夏本番という感じですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
 これを書いているのは7月初旬という、まだ梅雨真っ盛りな時期ではありますが、湘南では、きのうもきょうもお天気は良く、真夏が来ているかのようです。でも、九州地域では大雨が続き、各地での被害が毎日のように報道され、これ以上の被害が出ないことを願っています。また、梅雨末期には関東地方でもこうした大雨があると思われますので、水不足にはならない程度の適度な雨が降ってくれることを願っています。

 ところで、話は全然変わりますが、先日、神奈川県の逗子マリーナ内にある逗子マリーナヨットクラブが主催する「初島ダブルハンドヨットレースが開催され、そのオフィシャル気象情報提供ということで、気象予報士としてお手伝いしてきました。当日の朝4時には逗子マリーナに集合し、4時30分には逗子マリーナを出航。そして、その後10分後にはスタート地点である逗子のはるか沖に来ていました。

 そして、海上でエントリー確認を行ったあと、午前5時にいよいよスタート。今回のレースは、自分は初めて本部艇より見させていただいたのですが、何と過去最高の参加艇の83艇で、それらが一気にスタートするのは、かなりの迫力があります、と言いたかったのですが、実は、当日の朝のコンディションは、前日に南海上を通過した低気圧の影響で多少北東寄りの風が吹いていたものの、風速は4〜5m/s程度。しかも、スタートする時点ではさらに風が弱まり、2〜3m/s程度で、かなりの微風でのスタートとなってしまいました。その影響で、風をうまくつかむことができず、スタート地点からうまくスタートできず、バックしてしまっているヨットもあり、長い1日となってしまうことが予想されました。このレースは、熱海の沖にある初島を回航し、再びここ逗子沖まで戻ってくるというレースです。

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                      超微風でのスタート

 その後、2時間程度たっても、各艇はまだスタート地点からほんのわずかしか進んでおらず、神風が吹いてくれることを誰もが願っていたことでしょう。でも、その願いはむなしくも届かず、風は弱いままです。予報も強まることはなく、昼ころにかけては、かえって弱まる予報となっていて、気圧配置から見ても午前中は強まる要素はなく、それをレース委員長に伝えるのが、とても心苦しかったのをはっきりと覚えています。でも、わずかな希望として、午後からは南寄りの風が、気温の上昇とともに少し強まりそうということは伝えてありました。

 その後、自分が乗った本部艇は一時逗子マリーナへ帰港し、陸上で待機することとなりました。陸上では、今年から試験的に始めたようですが、主要な3艇の乗員が持つiPhoneからのGPSで現在の位置がパソコンでモニターできるようになりました。しかし、いつ見てもほんのわずかしか進んでおらず、先行きが危ぶまれます。陸上スタッフは、パソコンの前に釘付けになっていた人数が徐々に減っていくのも時間の問題で、気が付けば、誰もモニターしている人はいなくなっていました。

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                      GPSのパソコンモニター

 そうこうしているうちに昼ころになり、先頭艇を追っていたボートから、あとわずかで初島を回航できそう、との連絡。一気にその場にいたスタッフの意識が戻りました。モニターを見てみると、初島まであと数マイルとなっています。少し安心したのか、陸上スタッフの方々は各々用意されていた昼食に手をつけ始めました。

 午後2時を回ったころ、あと1.5〜2時間程度で帰ってきそう、との連絡が入ると、陸上本部も少しずつ慌ただしくなっていました。風も少しずつ南〜南西寄りに変わり、風速も多少は上がってきているようです。自分たちも本部艇に乗り込み、海上で先頭艇を待つことにしました。でも、海上のゴール地点に着いても、風速は思ったほど上がっていません。おそらく、4〜5m/s程度でしょう。あと1.5〜2時間程度という予想は大きく外れ、それから先頭艇が帰ってきたのは、おそらく3時間程度あとでした。でも、先頭艇のセイルがはるか沖に見えたときは感動しました。彼らは、この超微風の中、くじけることなく、気合を持ち続けたのです。その精神力はすごいものがあります。先頭艇はその後、みるみるうちに大きくなり、見事にフィニッシュ。フィニッシュ時間は、夕方の午後5時30分ころでした。

 その後、間隔を空けつつも各艇がフィニッシュしていきます。でも、83艇の参加艇が全てフィニッシュするまでには、まだまだ時間がかかりました。やがて陽が沈み、あたりは真っ暗になっても、まだ半分くらいしかフィニッシュしていません。このレースのタイムリミットは午後9時です。それまでに何艇がフィニッシュできるか。ヨットは、夜間に航行する場合には、航行灯をつけることとなっているので、近づいてくると、遠くから光がわずかに見えます。でも、その光が見えてからも、本当に近づいてくるまでは時間がかなりかかります。でも、その光を見つけては、本部艇の上では歓声が上がっていました。

 午後9時に近づき、あと数艇というところで、無残にもタイムリミット。でも、フィニッシュできなかったのは、わずかに数艇でした。みなさん、お見事です。本当にお疲れ様でした。

 ちなみに自分は最近、こうしたヨットレースを本部艇から見させていただくことが多くなってきているのですが、夜間にヨットに乗っていたことは実は初めてで、ヨットの上から見る月や星、そして、わずかに見える陸上の灯りなど、実はそんなところにも感動していました。

 今回、数時間にわたりヨットに乗せていただきましたが、波もなく、風もなく、穏やかだったので船酔いせずに済みました。ただし、陸に上がってからは自分の家で布団の上に横になるまで、揺れている感じがずっとしていました。でも、自分の疲れなど比べ物になりません。ヨットマンのタフさと、レースに臨むその気合、そして、何よりも海が本当に大好き、という純粋な真っ黒な皆様の笑顔がとても印象的でした。

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                       本部艇

 これからもこうした機会があれば、またいつでも乗らせていただきたいと思っています。また、そのうち、機会があれば練習をして、レースにも参加したいと思っている今日このごろです。

 今回、初島ダブルハンドヨットレースの運営の皆様、お疲れ様でした。また、貴重な経験をさせていただき、本当にありがとうございました。

小川予報士

小川予報士 [1536] (2012/07/13(Fri) 00:00:00) HOME



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